顧客が本当に欲しいものを見抜くためのシフトチェンジ。
裕美さんがユーザーファーストの視点を意識するようになったのは、
ある紅茶専門店での出来事がきっかけだったといいます。
裕美さんは、とある紅茶の先生のもとで紅茶の勉強を25年続けており、先生が営む紅茶専門店に足を運ぶことが、日々の疲れを癒やす息抜きになっていたそうです。
そのお店は、紅茶専門店を謳っているものの、食事の美味しさを前面に出しており、紅茶は半ば添え物のような見え方になっていたそうです。生徒の立場として、先生の専門性の高さを知っていた裕美さんからすると、それがどうにも不思議に思えました。
「もっと紅茶の専門的な部分を前に出せば良いのに、って先生に言ったんです。そうしたら、”だって、みんな紅茶を飲みたいんじゃなくて、美味しいものが食べたいんでしょ?”という言葉が返ってきて。
”紅茶は主役にはなり得ない。あくまでも美味しい食べ物があって、その美味しさを助けるための飲み物が紅茶だから、前面に出さなくて良い”と、はっきり言われたんです。その話を聞いて、アトピッコハウスもそうだ!と思いました」
アトピッコハウスの自然建材の良さをいくらアピールしたところで、それは結局作り手の目線でものを言っているに過ぎない。
顧客が本当に欲しいのは、自然建材を使った家での快適な暮らしである。
そのことに気づいてから、裕美さんは、顧客が求める快適な暮らしにフォーカスして、自然建材をわかりやすく説明することに注力していきました。実際にアトピッコハウスのHPでは、取り扱っている自然建材のメリット・デメリットが易しい言葉で書かれており、自然建材を使った暮らしぶりが具体的にイメージできるようなコンテンツが充実しています。
“モノを売る”から、”コトを伝える”。
数あるローカル零細企業の一つだったアトピッコハウスが、建築業界の中で独自のポジションを獲得してきた背景には、裕美さんの気づきに端を発するシフトチェンジがありました。
印象に残る商品名とパンフレット。
建主が資料請求をする際、大体が数社に並行して問い合わせを行う中で、いかに大手に負けないインパクトを残せるか。裕美さんさんは顧客目線を徹底させることで、その課題を乗り越えてきました。
イメージが広がる商品名と専門用語の少ない解説は、家づくり初心者でも理解しやすい。サイトを訪問された方が、親しみを感じて、名前を知らない小さな会社だけど、面白そうと思ってもらえるように工夫を積み重ねてきたそうです。SNSも早い段階から果敢に挑戦。建築業界の中では、トップクラスのSNS活用です。大手では真似できないこういった小さな付加価値の積み重ねが、現在の月400件の問い合わせに繋がりました。
これらの顧客対応の前提にあるのは、顧客が何を求めて、何を伝えたら納得してくれるのかを洞察すること。
今回の旅では、モノづくりの過程を知り、その商品を求めているお客様の潜在ニーズをくみ取り、
どのようなネーミングが適切なのかを、サンプル作りをしながら裕美さんが体験談を話してくれます。
もしあなたがいまの仕事で行き詰まっていることがあるとしたら、
その原因はユーザーファーストの視点が抜け落ちているからかもしれません。
相手の立場に立って考えるというのは、当たり前のようでいて、なかなか難しいものです。
今回の旅を通して、自他の視点をスイッチするヒントを掴み取ってみてください。
また、こちらは、2022年にアトピッコハウスさんで開催されたイベントの動画です。
来客される方には、「こんな心地い空間で、よく仕事ができますね」と驚かれるそうです(笑)。
アトピッコハウスさん心地いい雰囲気や空間が伝わる動画となりますので、ぜひご覧くださいね。