必要なのは、好奇心と発明力。ものづくりの現場に触れる。
町工場でのものづくりといえば、ベルトコンベアに流れてくるパーツを組み立てたり、設計図通り製品を規則正しくつくっていると思われる方は多いのではないでしょうか。
しかしそれだけが町工場のやり方ではありません。町工場の”聖地”大田区にある信和パーツ株式会社では、なんと設計図もなしに手作業でオーダーメイドの機械をつくっています。
同社が手がける機械はパーツフィーダーというもの。与えられたパーツを一定の向きに揃え並べる自動部品供給装置。工場内での作業をより効率よく進められるようになくてはならない重要な装置です。
その装置が動いている様はまるで魔法のよう!
と、説明してもなんだかよくわかりませんが、この動画を見れば理解いただけるはず。
どんな機械かわかりましたか?
「なんだか複雑」「つくるの難しそう」と思った人もいるのでは?
そう、設計図があったとしても一つ一つ仕様が違うため組み立てるのがとっても難しい装置です。
しかも同社では、想像力と経験で、この世にまだないものを設計図を引くこともなくイチからつくっているというから驚き。
ステンレス板を曲げてみる。突起の数を増やしてみる。傾斜を少しつけてみる。経試行錯誤を重ねお客さまの要望に応えられるものを仕上げていきます。ただ組み立てていくだけではなく、ステンレスを切る、ビスを打つ、溶接などすべての工程を一人で行っているのです。
自分で考え自分の手で形あるものをつくっていく。そんな新しい発想とアイデアに満ちた仕事に触れてみませんか?今回の体験では、工場を見学させていただき、実際に職人さんにお話しを聞きながらその発明力に触れます。さらに、新人職人が必ず練習するという作業の一部を取り入れた小物入れづくりに挑戦します。
難しい知識は必要ありません。「これはどんな工夫がされているんだろう」「このパーツの存在意義はなんだろう」必要なのはそんな好奇心。信和パーツ株式会社で「発明力」を磨きながら、ものづくりの面白さを体感しませんか?きっとそこから、新しい仕事や、やりたいことが見えてくるはず。
寝ても覚めても、ものづくりが好き。
信和パーツ株式会社で働く社員は、やっぱりものづくりが好きでした。
ある釣り好きの社員。こんなのあったら便利だなという思いから朝早く会社に出社し、釣りがもっと楽しくなる道具を自分でつくってしまったそう。
「最近、またなんかつくったんだって? 」と代表取締役の高島田政紀さんが尋ねると「そうなんですよ」と、うれしそうに見せてくれました。既製品にはない便利さが備わっている二股に分かれた世界に一つだけの竿立て。自慢の一品です。
一見、業務に関係がないように思えるのですが…。
「勤務時間外だったらどんどんつくっていいんですよ」と、高島田さんは言います。作業の工程で出てしまった半端な材料は、いわば捨ててしまうだけのもの。こんな風に生まれ変わらせることでまさに発明力が鍛えられるのです。
「溶接や切断、研磨などは実際の仕事でも必要な技術。その練習にもなりますから」。高島田さん自身も、自宅のお気に入りの足踏みゴミ箱を改良し、半永久的に使えるようにしたのだとか。もう10年以上同じゴミ箱を使っていると誇らしげに語っていました。みなさん、本当にものづくりが好きなんですね。
そんな、日々の好奇心や発明力は、もちろん仕事にもつながっています。老舗企業として、多くのノウハウと技術力は高く評価され「他の会社で断られて、最後の望みとウチに相談に来る方もいる」ほど。難しい案件が来た場合でも過去の事例を参考に、新しいものを生みだし、つくりあげています。
誰もつくったことがない、世の中にひとつしかないものをつくれる。そして、お客様も喜んでくれる。それが、この仕事の一番のやりがいだといいます。
考えて、手を動かして形にする。ものづくりを通して見えることとは。
今回の体験では、職人見習いとして作業の一部に挑戦します。経験と知識が必要なパーツフィーダーをつくり上げることはできませんが、切断と溶接を体験し小物入れをつくります。
切断と溶接は、新人職人さんが最初に練習する基礎の作業。この基礎工程からまず形あるものをつくってみましょう。もちろん、図面は引きません。想像力から実際の形にする「発明力」を発揮してご自身でつくりあげてくださいね。
単純な形のものでも、実際に自分の手でつくってみると設計図がないことの難しさを体感できるはず。実際に考え、手を動かし形にしていくことで、ものづくりのおもしろさだけではなく大変さも知ることができるでしょう。まるで子どものようにものづくりに夢中になっている職人さんのお話を伺っていると、改めて仕事とは何かを考えるきっかけになるのではないでしょうか。
「発明」に挑戦することで、忘れかけていた「ワクワク」する気持ちや自分にとっての楽しいこと、好きだったことに気づき、これからの仕事への向き合い方のヒントが見つけられることでしょう。
ピタゴラスイッチが好きなら絶対行って欲しい。
先日、仕事旅行社の内田が「パーツフィーダー職人見習いになる旅 」に参加してきました。上下左右バラバラな部品たちを、求めらた数量、決められた姿勢に整えて供給するのがパーツフィーダーです。重要なのは見栄えや質感では無く「機能」。指輪や家具のような生活に密着したものづくりではなく、産業用の機械だからこその、ものづくりの魅力がそこにはありました。
部品を決められた姿勢に整えるためには、さまざまなしかけが必要です。上下をひっくり返すためのしかけ。くっついてしまった部品を剥がすためのしかけ。一列に整列させるためのしかけなど。依頼ごとにしかけのアイデアを考え加えていくさまは、とてもクリエイティブ。部品が計算されたように動く様子は、まるでピタゴラスイッチでした。
旅のスケジュール
体験スケジュール及び内容時間 | 行程 | 体験内容 |
13:00 | 集合 | |
|
| オリエンテーション | ・自己紹介、参加動機 持ち帰りたいこと |
| 仕事を知る(1) |
・信和パーツ株式会社について知る
‐パーツフィーダーとは
‐仕事の内容 |
14:00 | 工場見学 | ・実際の現場を見学 |
14:15 | 仕事を知る(2) | ・職人さんの話を聞く
‐この仕事をはじめたきっかけ
‐仕事のおもしろさ
‐やりがい、大変なこと
・ものづくりについて
‐仕事をする上で大切にしていること
|
14:45 | ものづくりを体験 | ・小物入れをつくろう!
‐デザイン、設計
‐切断
‐溶接
‐仕上げ |
| 旅のまとめ | ・旅のしおりの記入
・感想の共有
・質疑応答 |
17:00 | 終了 | 解散 |
※当日の状況によりスケジュールは前後いたします。ご了承下さい。