2016年03月22日更新

“個性のなさ”を強みにして人気ブランドに。長崎「波佐見焼」の現場でディープに時代を読み解く

こんにちは。仕事旅行社の内田です。

先週から 「未来へつなぐ長崎の手仕事」というテーマで、長崎県を舞台に3つの伝統工芸の魅力に触れる旅の募集が始まりました。江戸時代に日本唯一の貿易港として開かれた歴史を持つ長崎。そこで生まれる伝統工芸品は、東洋文化と西洋文化が混じった異国情緒が魅力となっています。

なかでも、長崎県波佐見町で作られる「波佐見焼」は、北欧食器のようなモダンなデザインが人気を呼び、近年、国内外から大きな注目を集めています。波佐見町に訪れると、昔の製陶工場の跡を現代風にアレンジしたカフェや雑貨店が立ち並び、街を歩くと、道路や橋の手すりなど、街の至る所に磁器の存在を感じることができます。

そして、その波佐見の街で感じることのできる「時代の流れを読み解く感覚」や「全体でものづくりを支えるチームワーク」が、近年の波佐見焼の人気を支えているようにも感じました。ここでは、その理由をご紹介します。

時代の流れを読み解くリーダーブランドの存在


波佐見町は長い間、陶芸で有名な「有田焼」を下請けで作る産地だったため、表に名前が出ることはなく、波佐見焼だけの特徴を持つこともありませんでした。近年、産地表示が厳格化されたことで、名前が必然的に現れるようになりました。

そこで、波佐見焼の窯元や商社は「特徴がないのが、波佐見焼のよさ」と捉え、形にはまった技法がないからこそ、現代の暮らしにも馴染む、時代にあった焼物を目指し、積極的に外部のデザイナーやショップと焼物づくりを行っています。

その取組が有名アパレルショップのバイヤーの目に留まったことで、雑誌やテレビなどでもたびたび特集が組まれ、一気にブレーク。ぞくぞくと食卓を彩る魅力的なブランドが登場するようになりました。

HASAMI

HASAMI(ハサミ)は2010年に登場したブランド。波佐見焼の伝統を守りながら、現代目線のデザインで生産し、今注目されているブランドです。 代表作とも言えるスターティングシリーズの「ブロック」はカラフルな色彩で、どんな料理もおしゃれに見え、引っかかりがなく洗いやすく実用的な食器です。 このシリーズが雑誌やネット上で広まり、作品とともにその名が知られるようになりました。

白山陶器

50年以上錆びることなく愛される「G型醤油さし」など、グッドデザイン賞やロングライフデザイン賞などを受賞した商品が数多くあるのが特徴。華美でなく、かといって平凡でもない。新しさはあるが、時代に左右されることがない。 使っていて飽きのこないデザインが魅力のブランドです。

HASAMI PORCELAIN

触れた時の心地よさ。必然的な形。自由に使えること。3つのコンセプトを大切にして作られたブランド。様々なカラーと合わせやすくテーブルコーディネートも自由自在。なにより料理の鮮やかさが生かされるので、料理がおいしそうに見えることが人気となっています。

このような時代の流れを読み解くことに長けたブランドがリーダーとなって、焼物づくりを牽引することで、次々と魅力的なブランドが生まれ、波佐見焼の価値をさらに高めています。

焼物づくりを支えるチームワーク



波佐見焼はひとりの職人さんがひとつのモノを作り上げるのではなく、完全分業制。器の原型となる石膏型を作る「型職人」器の素材になる生地作りを担当する「生地職人」そして、生地から商品になるまでの焼成を行う「窯元」と、車で10分圏内の場所に、それぞれの分野の作業場があり、分業して作られています。言わば、町全体がひとつのチーム。それゆえに、みんな個性的でありながらも「協力すること」が文化として根付いており、町全体の連帯感につながっています。


昨年作られた「ディープ!!波佐見町」という観光パンフレットでは、旅のガイドブックの一歩内側をゆく。というコンセプトのもと、協力することが得意な波佐見町の人たちを通して、町の魅力が伝えられています。

焼き物の町らしく、多くの家庭の食器棚には家族の人数以上の皿が詰まっている、といった身近な話や、JRの駅は無い。でも前向きに解釈すれば最寄り駅が3つある。といった自虐ネタなど、モダンやおしゃれといった文脈では語られない、焼物づくりを支える、素の波佐見町の姿が人気を集めています。

そんな、注目を浴びる波佐見町ですが「長く続いてきた分業体制が崩れつつある」という問題も存在します。型職人と生地職人は、原材料の高騰や高齢化によって廃業に追い込まれる業者が増えているのだとか。このまま、型職人と生地職人の技術が途絶えてしまうと、分業で成り立つ波佐見の焼物は、途端に立ち行かなくなるでしょう。


そのため、町では後継者育成時に生活費が支給される研修制度を始めたり、廃業によって空いた工房と若いクリエイターをマッチングする「波佐見空き工房バンク」を作るなど、担い手の育成に積極的に取り組んでいます。

波佐見は、後継者不足という問題に対して、どのように時代を読み解き、乗り越えようとしているのでしょう? 九州以外の人にとって長崎は遠く感じますが、伝統工芸のリアルな現状や独自の取り組みを知りたい方、デザインや商品開発に関心がある方にとっては、刺激やヒントにあふれる旅になりそうです。

春の旅行を兼ねて訪れてみるのもよいかもしれません。「波佐見焼の生地職人になる旅」を通して、ぜひ、ご自分でその未来や可能性を、感じ取ってください。

仕事旅行の「春の長崎特集」はじまってます。ここでご紹介した波佐見焼以外に、「べっ甲細工」や「三川内焼(みかわちやき)」を体験できる旅も。詳細はコチラ→「未来へつなぐ長崎の手仕事」
仕事旅行ニュウス: 2016年03月22日更新

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