2016年03月14日更新

外の世界にふれることで人や組織はもっと高く跳べるはず—「留職」で働く情熱を再びー

「シゴトゴト」編集部の島田です。先日、仕事散歩の「クロスフィールズメンバーと”働く”を考え直す」に参加してきました。

この日のホスト・小沼大地さん(特定非営利活動法人クロスフィールズ代表理事)が立ち上げたクロスフィールズは、「留職プログラム」を展開しているNPO法人です。

「留学」ならぬ「留職」とは、新興国などに行った社員が現地に“留まり”、“職務を行う”という意味で名付けられた造語。日本の企業で働く人材が、新興国のNPOで本業のスキルを活かして社会課題の解決に挑むことで、強い想いを持ったリーダーを育成することを目的とした事業です。

10cmしか跳べないノミが30cm跳べるようになるワケ


なぜ、強い想いを持つリーダー人材が企業に必要なのでしょう? 留職で何が変わるのでしょう? 小沼さんはこんな例え話をしてくれました。

「ちょっとゾッとするかもしれませんが、想像してみてください。ここにたくさんのノミが30㎝ほどの高さまで跳ねているとしましょう(笑)。このノミたちに10㎝ほどの瓶をかぶせると、瓶の内側で跳ね続けます。しばらくしてその瓶を取ると、なんとノミたちは瓶と同じ高さ(10cm)しか跳べなくなっています。

しかし、このノミたちに“あること”をすると、一斉にはじめと同じ高さまで跳べるようになります。その“あること”とは何だと思いますか?」

「水をかける?」
「もっと広い瓶にいれる?」
「音を鳴らす?」

参加者から様々な回答が出ますが違います。小沼さんからの答えは「30㎝跳べるノミを、そこに一匹加える」でした。

「“あ、自分も跳べる”って他のノミも跳び始めるそうです。みなさん一人一人が、そういう“新しいノミになる”みたいなことができるんじゃないかなって。留職プログラムの参加者の方々にも、“あなただけではなく、会社の方たちも一緒に変えてくださいね“と必ず伝えているんです」(小沼さん)

つまり瓶は「会社」や「組織」の枠であり、ときにその枠は働く人たちから、本来持っているはずのジャンプ力を奪うケースもあるということなのでしょう。様々な企業、多くの人々の「働く」に向き合ってきた小沼さんの話からは、聞くほどに働くことへの強い想い、熱意が伝わってきました。

ほかの参加者のみなさんからも「働く」ことへの熱意が感じられます。IT会社や外食産業、発達障がい者をサポートするソーシャルワーカーなどお仕事も様々。なかには転職のタイミングに「人生全体のなかで“働く”を考えたくて」と京都から来た方もいました。



参加者の自己紹介がひと通り終わったところで、小沼さんがクロスフィールズ立ち上げから今に至るストーリーを話してくれました。なぜ「留職プログラム」という事業を立ち上げたのでしょう?

シリアの人たちは幸せに働いていた


はじめに、小沼さんが「ぼくらの世代の共通認識につながる原体験」として挙げたのが、阪神大震災や不況などといった出来事です。

ライブドアショック当時、大学生だった小沼さんは、「短絡的な金儲けでは人は幸せになれない。生き生きと働いて行ける人は、社会課題の解決に取り組む人たちなのでは? 誰かのために働くということが、これからの幸せかもしれない」と考えたそうです。

大学を卒業後、青年海外協力隊としてシリアへ渡った小沼さんは、様々なハードルを越えて環境教育の活動に携わります。

「国際協力をしに行ったという感覚はなくて、むしろシリアのほうが日本よりも『豊か』であると感じました。特に、シリアの人々はすごく幸せに働いていたのが印象的でした。」

シリアの暮らしには、「自分の仕事でまちの生活が豊かになる」という実感があったといいます。自分の仕事によって喜んでくれる人の姿が目に見えるのは、こんなにも働く意義や働く喜びにつながるのだとわかったそう。

帰国後にマッキンゼーに入社、人材育成プロジェクトに取り組んでいた小沼さんは、大学時代の同級生たちと再会します。しかし、入社前には「経済の力で日本の社会課題を解決する!」など、それぞれの志を抱いて燃えていた友人たちからは、以前のような熱意が失われていたそうです。

「働くことって何だったんだ? たった2~3年で会社というものが、こんなにも人の“働く”を歪めてしまうのかって、ショックでした。『なんとかしないと』って思ったんです」

このときの悔しい想いが、いまも小沼さんを事業に駆り立てるエネルギーになっているそうです。


留職で“気づき”や“情熱”をプロデュースしたい



(画像 クロスフィールズ サイトより)

留職する社員は、いったいどんなことをして何が得られるのでしょう。小沼さんは動画とともに、いくつかのエピソードを紹介してくれました。

例えば、インドネシアで医療廃棄物の針刺し事故の課題に取り組むというミッションを与えられたある企業の社員は、コストをかけずに処理する方法として「注射針をワタに刺してから捨てる」というアイデアを提案。現地の6つの病院すべてでオペレーション体制を整えて帰国しました。

日本ではこの方は、「注射針をいかに細くするか」を追い求めて開発していました。帰国後の報告会で小沼さんの印象に強く残ったのが「一本の針が持つ価値を考え直しました」という言葉だったそうです。

現地では太かったり折れやすいなどの粗悪な針による医療事故が起き、「病院は怖い」というイメージが根付いていたそう。その人は針が使われる現場を見て、「自分が細くて丈夫な針を作ることは、安全・安心な医療行為をしっかりと人々に届けるために大切なことなのだ」と感じたのです。

「こういった“気づき”をプロデュースするのが留職です」(小沼さん)

仕事の捉え方を変えることで「仕事」が「志事」になる。日々の仕事の見方をちょっと変えてみることで、情熱のスイッチが見つかるかもしれません。

企業の社員が海外の途上国に赴き、現地の課題解決を加速。企業はリーダー社員を育成する研修として人材を派遣し、その人がもたらす社内活性も魅力です。創業5年目を迎えた現在、クロスフィールズでは15名の職員が働いています。

挑戦しないことことがリスク


こうして多くの人の“働く”に、再び情熱を取り戻すためのサポートを行って来たクロスフィールズですが、小沼さんが描く思いは、初めから多くの賛同を得られたわけではありません。

小沼さんは最後に、参加者の方々に「挑戦しないことがリスク」というメッセージを送りました。

「飲み会で熱意を語ったとき、“大人になれよ”と言われてブチっときたんです。まあ、酒の席での話ということで忘れることもできたかもしれない。そのまま会社で働いて、普通に幸せにやっていくこともできたかもしれない。

でも、いつか人生が終わるときになって、“あのときブチっていうほど何かを感じたのに、何もやらなかった”って後悔したくなかった。僕にとっては、その後悔こそが最大のリスクだったので、挑戦しようと思ったんです。

そしてもうひとつ、この言葉には意味があると小沼さんは言います。

「今日の常識は3年後にはきっと、非常識になっている。逆に言うと、今日非常識なことが、3年後には常識になっているっていうことです。

ということは、重要な意志決定のときに、全員が“いいね”っていう道は危ないと思うんですよ。それはいまの常識だから。

いまの常識とちょっと違う何かに挑戦してみることが、大事だと思うんです。そういう行動をすることでしか、社会は変わっていかないと思うんです。

僕の話が今日ここに来ている皆さんにとって、アクションを起こすきっかけになったらうれしいですね」


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