『日本の給料&職業図鑑』はなぜウケたのか?—給料BANK・山田コンペー氏に聞いてみたvol.1

給料と職業のポータルサイト「給料BANK」がリリースした書籍『日本の給料&職業図鑑』(宝島社)が評判になっています。今年1月の発売以来、amazonのサブカル部門1位(総合でも最高7位)を記録するなど売れ行きも好調。

弁護士、医者といったよく知られた職業から、ユーチューバー、コスプレイヤーなどの新しい職種まで、約300の仕事の内容や就き方、平均給料などを紹介する“図鑑”ですが、面白いのはそれぞれの職種の人をRPG風のファンタジックなイラストで表現しているところ。

なぜ、RPG風の職業図鑑を出そうと思ったのか? そもそも「給料BANK」とは何なのか? 同サイトを運営する山田コンペーさん(上写真)にインタビューしました。

(聞き手:河尻亨一/仕事旅行社キュレーター)



書籍『日本の給料&職業図鑑』と「給料BANK」サイトより。約300の職業がRPG風キャラで描かれ、平均給料、職務内容といった情報も紹介。


「働く人はみんなカッコいい」を言いたくて


——『日本の給料&職業図鑑』、かなり評判いいみたいですね。なんなんでしょう? じわっと着実にウケてるこの感じは。

山田(コンペー氏 ※以下、山田) なんなんでしょうね? 僕もわからなくて(笑)。

——レビューでも「もう一度夢にワクワクするためのバイブルだ」とまで言ってる方や「ゲームの攻略本みたいで面白い」と言う方など、読者によって色んな楽しみ方があるみたいです。この本はカテゴライズが難しいですね。

山田 書店さんも、置くときにどの書棚に置いたらいいかわからないみたいです。一応サブカルの本ってことになってますけど、資格の本や転職の参考書としても読んでいただけてるようで。あと、意外とママさんたちにウケがいいらしく、書店さんによっては児童書コーナーでも展開してくださってるみたいです。

このあいだTwitterで「平成版の『13歳のハローワーク』だ」ってつぶやいてる方がいたんですけど、そういうご感想はうれしいですね。

——給料BANKの人気コンテンツを書籍化されたということですが、そもそもなんでこんなサイト作っちゃったんですか。しかも個人で。 

山田 給料BANKを始めるとき、まず僕自身が「色んな職業がRPGのキャラみたいになってたらうれしいな」っていうのはあったんですよね。そこで、新しい形で職業を表現したいと考え「RPG化」を思いつきました。擬人化+職業のスキルや技術を加えRPG風にするという感じです。

たとえば弁理士さんだったら、堂々として頼もしいイメージだから、弁慶みたいな武士になってたらどうだろう? とか。それをやるとその仕事に就いてる方々が、喜んでくれるんじゃないか? というふうに思って。

そもそも独立したときに、自分の運営するポータルサイトを「絶対書籍化したい!」って思ってたんです。ブログの書籍化はよく聞きますけど、ポータルサイトってあまりないじゃないですか。クックパッドとかアットコスメなどをのぞいて。

——とはいえ、書籍にするには話題にならないとダメですよね。そのための工夫などもされましたか?

山田 近頃、擬人化ってけっこうブームですから、「キャラがたくさんあれば、ネットで話題になるかなあ?」みたいなイメージはありました。実際2ちゃんで「ヘンなサイトがある」って話になって、そこから一気に広まっていった気がします。大手のメディアさんにもメールでリリースしたんですけど、それはあんまり反応よくなくて。

SEOで自然検索で入ってきてくれる人を増やして、そこからの拡散みたいなイメージも持ってはいましたが、その前に「自分が見てみたいサイトじゃないと人も見ないだろう」っていうのは、やっぱり根底にあるんですかね。

——「作り手も楽しんでる感」が出てると思います。給料BANKのコンセプトとして掲げられている「一億総かっこいい職業」というのも前向きなメッセージでいいですね。テーマが「職業」とか「働く」というと、どうしても「ツラい」みたいなネガティブなほうに行きがちなので。

山田 そこは言いたいところですね。実は僕も子供のときは「サラリーマンってカッコ悪いな」と思ってたんですよ。一時期は役者やったり映画監督目指したりしてたんですけど、まあ夢破れて、サラリーマンとしてウェブの業界で働き始めたときに、上司を見て「ああ、サラリーマンかっこいいんだな」と思ったんです。

で、自分みたいな子供に向けて、「働く大人ってかっこいいんだよ」というのを表現するのはどうだろう? と。



給料BANKサイトより。

タブー視されてる「給料」の話にぶっこんでみました


——色んな「職業」のポータルでもありつつ「給料」ということに着目されたのはどうしてですか?

山田 単純に気になるんです、自分だけじゃなく人の給料も(笑)。人って給料好きじゃないですか?

——嫌いな人はいないでしょう、たぶん(笑)。

山田 でもタブー視されてるっていうか、おおっぴらに給料の話をする人はあまりいない気がして。あえて「そこにぶっこめたらいいな」というのはありましたね。

ただ、これ、算出がかなり難しくてですね。厚生労働省の労働白書や求人情報などを元に出してるんですけど、オフィシャルな統計では給料が調べられないものもあって、そういうのはネットの口コミなどから推計せざるを得なかったり、けっこう手がかかるとこなんですが。

——各職業の給料の算出に限らず、全体的に手間かかってそうです。イラストもオリジナルで描いてもらってるわけですからね。

山田 ええ、サイトを立ち上げるとき、まず絵を描いてくださる方々を Pixivで 探しましたよね。僕は「タクティクスオウガ」っていうシミュレーションRPGが好きで、小学校の頃ハマってたんですけど、その絵柄のイメージがあったんです。それに近い絵を描ける方を探しました。

最初の頃は打診したら、「本当に大丈夫なの?」っていうメールを頂いたこともあったんですけど、「ちゃんとお金も払います」ってことで引き受けてくれました。

描いてくださる方も増やしていて、いまは7〜8名態勢になってます。皆さん楽しんで描いてくださってるのがうれしいですね。僕自身、イラストを依頼して、戻ってくるのがもう楽しみすぎて。

今回の本には約300職種収録したんですけど、候補はトータルで700職くらいあります。最近新しくコーディネーター職のシリーズも始めました。

——「ホスト」「ホステス」「レースクイーン」を“王子王女系職業”、コーディネーター系の仕事は“調停者”とくくるなど、まとめ方も面白い。そういった見出しやイラストに付けるコピー、本文の記事は山田さんが書いてらっしゃるんですよね?

山田 最近は自分では書けない部分も出てきてるので、外注もしてますけど基本的に僕です。いろいろ調べるんですよ、イラストを発注する前に。その職業の起源なんかも調べないとイラスト指定できないですから。

実体験から発想したのもあります。初期の頃作った「高速道路料金所収受係」はかなり好きで、元ネタは「ジョジョ」のスタープラチナなんですけど、こういう方が料金所にいたんですよ、ほんとに(笑)。「オラオラオラオラッ!」みたいな感じでお金の受け渡しがすっごい早くて。

——世界観はファンタジーなんだけど、どことなくリアルな「あるある感」もあるのが、人気の理由かもしれませんね。私の仕事である「編集者」の場合、なぜか陰陽師みたいなイラストになっていて、「『修』『注』『改』『削』は特権スキルである」とか「最高なモノが出来るまで何度でも修正を入れさせます」などと書いてある(笑)。本職から見ても「なるほどな」と。

山田 舎人親王から始まるもっとも古い職業のひとつですからね(笑)。

後編はコチラ→「ぶっこみ精神」発動で生き方が“ベンチャー”になりました—給料BANK・山田コンペー氏に聞いてみたvol.2


給料BANKサイトより。

読みもの&連載もの:2016年03月03日

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