2021年12月13日更新

【仕事旅行SDGs】環境をつくることも農民の務め。菅博さんが昭和の頃からアニマルウェルフェアに取り組んできた理由

「平和だなあ…」

山あいの小高いところにある棚田から里を見おろしながら、シミジミそうつぶやくのは菅博(かん・ひろし)さん。まさに「平和」を絵に描いたような里山の風景が、そこには広がっています。

ここは山形県の北東部にある最上町。最上川の支流にひらけた山間の盆地です。ご想像のように鉄道やバスの本数も少なく、知る人ぞ知る「湯けむりの隠れ里」といった趣もあり。

菅さんは、農場「最上の荘園」の代表として、約40年にわたって「自然卵養鶏」に取り組んできた"有精卵づくり"の大ベテランです。

卵の大量生産を可能にする鶏のケージ飼いが養鶏の主流となっていた昭和50年代に、なぜ「平飼い養鶏」の仕事を始めたのでしょう? 

「ここらはね、雪が降るもんだから冬場は農業ができないんだよな。6ヶ月間、雪の中での生活だからね。それでみんな出稼ぎに行くわけだけど、養鶏なら1年中できるんですよ。そもそものきっかけはそれだね」

菅さんの言う通り、最上町で農業を営むのは温暖な気候の地域とは異なる苦労があります。なにしろここは「やませ」の町。春から夏にかけて吹く冷たく湿った東寄りの風の影響で、農家は長年、冷害に苦しんできました。



農業高校を卒業した菅さんは、地元青年たちのリーダー的存在となり、海外の農業を視察するなど広い世界から刺激を受けます。

「新しい農業を実践したい!」。そんな思いが膨らんできたとき、自然卵養鶏法を提唱した中島正氏との出会いがあり、指導を受けて地元の仲間たちと始めたのが「平飼い養鶏」という、当時としては新しいビジネスでした。

「その頃は、平飼いをやるなんて"変わり者"と言われたんだけどね(笑)。でも、私はケージ飼いに抵抗があったんです。経済優先で鶏をぎゅうぎゅう詰めにして、高カロリーの餌を与えて薬づけにするっていうのは…なんだか愛情がないように思えて。鶏も自然に近い状態で育てると、美味しくて健康的な卵を産んでくれるんですよ」

最上の荘園では鶏に、キノコの菌床を15%ブレンドした餌を与えています。ノコクズ発酵飼料や米ぬか、魚粉や牡蠣殻など10種類の飼料を混ぜたオリジナル飼料のほか、鶏舎の周りに生える新鮮な草も食べ、通常より時間をかけてじっくり育てた鶏だからこそ、卵に濃厚なエネルギーが宿るのでしょう。

この飼料を食べた鶏はフンもサラサラ。土に還すことができるため、有機肥料として活用することができます。

「環境をつくることも農民の務めです」と菅さん。このひと言からも菅さんが"農民”という仕事にプライドを持っていることが伝わってきます。

近年欧米では、「アニマルウェルフェア(家畜福祉)」の考えが広まり、EU諸国では従来型のケージ飼育を規制、あるいは禁止する方向に動いています。

米スーパーチェーン大手ウォルマートが、2025年までに扱う卵をすべて「ケージ・フリー」にシフトすると表明するなど、世界的に見れば「平飼い」あるいは「放し飼い」はいまや養鶏の主流。

「最上の荘園」は事業規模こそ大きくないとはいえ、こういった"イノベーティブ"な生産スタイルを約40年前に導入しています。

そのやり方がようやく世界のスタンダードとなりつつあるのですが、平飼いのパイオニアの一人として、様々な失敗と経験を重ねながら40年にわたって続けてきたのは、並大抵のことではない。

この仕事旅行では、1泊2日の養鶏体験を満喫することができます。菅さんが運営するゲストハウスで、産みたてホヤホヤの平飼い卵をホカホカご飯にかけて、心ゆくまで何杯でもいっちゃってください。

苦しいことがあっても、マイペースで楽しく仕事を続ける秘訣とは? そんな話も聞けるでしょう。

詳細&お申しこみ:昭和のベンチャー「平飼い養鶏」にやっと時代が追いついた? 最上の荘園で極上の卵かけご飯を

仕事旅行ニュウス: 2021年12月13日更新

メルマガ登録いただくといち早く更新情報をお伝えします。

メルマガも読む

LINE@はじめました!

友だち追加
このページを気に入ったらいいね!しよう
はたらく私のコンパス《170種類の職業体験》 
あわせて読みたい

Follow Me!


PAGE TOP