2021年12月06日更新

息苦しさをつくっているのは、自分かもしれない。精神保健福祉士の仕事旅行で学んだことー編集職人による仕事旅行レビューvol.3

仕事旅行づくりを手伝ってくれている編集職人の皆さんが、みずから仕事旅行を体験。そこで学んだこと、感じたことを自分の言葉で直球レビューします。参加する旅選びのご参考に。

ホッとできる居場所を求めて


「誰もが安心できる場所って、どんなところだろう?」

そんな興味からポチっと申し込んだ、精神保健福祉士になる旅。

結果を出さないと社会の輪に入れてもらえない。そんな冷たさを感じていた自分は、この温かそうな場所に惹かれました。

東京駅から1時間半。直通バスにゆられ、現地まで。

案内してくれたのは、代表の根本敏宏さんです。

根本さんは20代で看護の世界に飛び込み、32歳で独立。現在は市と連携し、自殺未遂者の保護、貧困世帯の子供の学習支援、障害者の相談窓口など、”誰も取りこぼさない社会”を作るために、幅広く活動されています。

その拠点の1つが今回の旅の舞台、”みんなの学校いなしき”。

廃校を利用した、障害者支援の場です。障害のある方が、軽作業を通して働く訓練をしたり、グループワークで自己理解を深めます。また、子供の学習支援や地域交流の場として開放しているため、ふらっと地域の人が入ってくる不思議な空間です。

この旅では、事業の説明を受けるだけではなく、職員さんとのランチ会、当事者の方とのグループワークや共同作業を行います。

その体験は、単に福祉業界を理解するだけではなく、自分のあり方や考え方を問われるきっかけになりました。



相手を決めつけず、フラットに


参加してみて意外だったのは、職員さんが障害者の方をべったりケアしていないこと。「元気〜?」と声かけなどはするけど、ことさらにサポートはしない印象。

もっと寄り添っているイメージだったので、少し驚きました。

職員さんとのランチ会で、その疑問をぶつけてみると、関わりすぎないことの大切さを教えてくれました。

「過保護が自立を阻害してしまうんです。無菌な場所にいても、いつまでも社会に出られない。傷ついてもいいんです。そこから立ち直ることが大事。そのときは全力でサポートします。」

そんなしっかりしている職員さんも一人の人間。いっぱいいっぱいになることもあります。そんなときは、サポートされる側にもなるそう。

「プロとしての関わりはもちろん大前提です。けど、それでもダメなとき、自分の現状を皆さんに伝えます。いま手が離せなくて焦っているんだ、みたいに。そうすると、皆さん自分なりに協力してくれるんです。」

障害者だからできないだろう、分かってくれないだろう。そんな偏見を持たずに、一人の人間として関わることの重要性を学びました。



温かくも、自分の心を映してくれる澄み切った場所


最近は社会の冷たさに慣れてきた自分。人間関係を割り切れば、傷つくこともない。けど、自分の熱までなくなっていく感覚に戸惑っていました。

午後のグループワークでは、その悩みをぶつけてみることに。社会で生きづらさを抱えている皆さんだからこそ、どう考えるか気になりました。

その回答にはハッとさせられることばかり。

「人間関係に冷めてもいいと思います。それが自分を守ってくれているんですよ。その代わり自分の目標に立ち戻れば、熱は返ってきますよ。」

そんな言葉をかけてもらったとき、不覚にも泣きそうになりました。

自分とずっと向き合ってきた皆さんだからこそ、力強い響きがあります。

人間関係を割り切ることで自分を"過保護"にして、そのことで息苦しくなっていたのかもしれない。決めつけることで作られる閉塞感を"鎧"のようにまといながら、他者を拠り所にしてしまっている自分に気づくことができた旅でした。

“みんなの学校いなしき”は、温かくも、自分の心を映してくれる澄み切った場所です。

そんな環境だからこそ、自分の内なる熱に気づけるのかもしれません。

あなたも、自分の心のありようを見にいってみませんか?

レビュアー:広原真矢(編集職人)

旅行情報:地域と福祉を和えた“みんなの学校”で、多様な人々と共に歩む仕事



【この連載のバックナンバー】

一緒にご飯を食べたい人を採用する。食業プロデューサーの仕事論に学んだことー編集職人による仕事旅行レビューvol.1

会社以外の居場所を持つ。焦らず気長に時期を待つ。秩父銘仙の仕事旅行で学んだことー編集職人による仕事旅行レビューvol.2

仕事旅行ニュウス: 2021年12月06日更新

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