2020年04月21日更新

おこもりワークで大切な"3つの密"を考えてみたーーいろんな仕事の人が語る近況レポvol.1「ある編集者・ライターの場合」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人の暮らしや行動パターン、ものの感じ方などが大きく変化しつつあるようです。そして多くの人が不安の中で仕事を続けています。

仕事旅行では、身近な人たちに近況を報告してもらうことにしました。いろんな仕事に就く人たちが、いまどう過ごしているのか? 外出自粛が続く中でのそれぞれの仕事の工夫とは? 近況を報告しながらリモートで知恵を寄せ合うリレー・レポートです。(シゴトゴト編集部)


3密は避けたいが仕事の密は下げたくない


よく目にするようになりましたね。「コロナで変わる働き方!」みたいな記事を。ただ、私の場合、仕事のスタイルはそれほど変わらない。基本、家で文章書く仕事ですから。年季の入った"おこもりワーカー"なので、毎日、地味に文章書いてます。

とはいえ、それは仕事のスタイルのこと。もちろん影響は大です。

まず、セミナー系の仕事は全部飛びましたね。自分の場合、マーケティングやデザインが専門なのですが、毎年夏に取材してる南仏の国際クリエイティブ・フェスティバルも今年は中止で、悲しい感じです。10年くらい続けてるトーク連載も一個、しばらくお休みだとかーーそういう副業ができないのはイタいですね…。仕事密、明らかに下がってます。

取材ものの仕事はオールリモートに。自分は古風にスカイプがメインですが、流行りのZOOMとか使ってる人も多くて、これを機に仕事のオンライン化って進むんですかね? 「意外とテレワークで回せたわ」みたいな。

一方で、このあとコロナ禍が終息なのか、あるいは収束したとき、リアルワークの価値が見直されるというのもあるかも。実際、コンビニやスーパーに行って、そこで頑張ってはたらいてる人を見ると、「ありがたいなー」としみじみ思いますから。

そのへんも含めて、どうなるんですかね? 世界の未来。なんだか不安です。

近頃、英米人のインタビューが多いんですが、3月頭くらいまでは「東京、大丈夫?」みたいなリアクションをされていたのが、途中から一気に変わってきた。メールの結び言葉が"My very best"だったりしたのが、いまや"Stay safe"に。アメリカにいる知り合いも一人かかっちゃったらしく心配です。軽症とされても、すごくヘビーという話でした。

日本も緊急事態になりましたが、思っていた以上に外出自粛は長引くかも。仕事は可能な限りリモート化する社会の流れの中で、慣れない「在宅」にそろそろ疲れを感じ始めている人も増えていそうです。リモートだと「能率上がらない!」といった話もよく聞きます。

リモートで仕事ができるぶんだけありがたいことではありつつ、やはり悩ましいところです。

そこで、リモートを多少なりとも快適に行うための「心構え」やちょっとした「工夫」がないかな? などと、つらつら考えているうち、ふと思いつきました。いまの社会生活と同じく仕事においても、"密のコントロール"が大事なんじゃないか? と。

以下ではそれを「濃密」「親密」「秘密」の3つのワードでまとめてみました。リモートワーク歴が長い人間からのアドバイス。参考になりそうでしたら。

①「 濃密」:能率にとらわれないモチベーション濃度の上げ方


まあ、サボっちゃうものなんですよね、"おこもり"というものは。他人に見られてないですから。

猫がやってくると、つい遊んだり。そうするうちに「そろそろ、おやつでも食べようかな?」みたいな気分になりだして、いつまでたってもやるべきことが進まない。で、「能率悪くて…」といった事態に陥りがちです。

で、早速アドバイスなんですが、もうこの際、あきらめましょう、能率は。矛盾した言い方になりますが経験上、あきらめたほうが結果、"能率的"にこなせます。

頑張ろうとすればするほど、人間サボります。衆人"監視"の状況じゃないと。そういうアニマルです。いまは非常時ということもあり、その本能をほどよく受け入れたほうがいい。ヘンに頑張ってストレス溜めると、逆にパフォーマンス最低になります。

昔、とある著名なゲーム音楽の作曲家にインタビューしたことがあるのですが、そのクラスのビッグでもこのサボり問題だけは解決できないものらしい。「どうしようもないっすね…」というお話でした。

ただ、それでただ時間がすぎているようでは仕事にならない。工夫の仕方は人それぞれあります。例えばその先生の場合、「起きたらまず10分仕事」というふうに決めてらっしゃるとか。で、「10分だけ仕事したら10分遊んでいいことにする」と。それを何度か繰り返す、あるいは少しずつ仕事時間を伸ばしながら作業するそうです。

つまり、仕事時間を極端に短めに取る。ここがポイントです。間違っても「今日は8時間頑張るぜ!」みたいな無謀な目標は最初から設定しない。

すると、どうなるか?

最初はイヤでイヤで仕方ないので10分はたらいて即遊びます。10分だったらさすがに頑張れる。それを2〜3回繰り返します。すると仕事に集中しちゃってるんですよね、いつの間にか。

つまり、サボるのもめんどくさくなる。遊びたい気持ちがなくなったら、予定してた次の休憩はシカトで。ただ、集中力切れてきたら潔く一回長めに休む。

意識的に"やる"んじゃない、無意識のうちに"やってしまう"んだよ。そのマインドをどうやってつくるか。この話を聞いてから私も実践していますが、万能ではないものの結構使えます。意外と作業はかどったりします。

うまく言えないのですが、フラットで平均的な「能率」というより、生産性の高い「濃密」な時間へどう持っていくかの感覚ですかね。この手のやり方が向いてる職種とそうじゃない職種があるでしょうが、テレワーク時代には意外といいんじゃないかと思うので、オススメしてみます。

②「親密」:ディスタンシングはフィジカルのみに


モチベーションの話の次はコミュニケーションについて。

多くの方が実感されてると思いますが、ギスギスしてくるっていうのは、あるんですね、在宅が長くなってくると。

そうでなくともメールやチャットなどテキストベースのやり取りは、相手の真意や空気がつかみきれないことが多い。すると返事もキツいもの言いになりがちだったり。ZOOMで手っ取り早く用件だけ片付けようとしているうちに、関係が殺伐としてくるとか。

なのでこの時期、やっぱり仕事相手に対しては、いつも以上に「親密」を心がけたいところです。

英米圏では「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離をとろう)」という言葉をあまりに強調したことで、人と人の心の距離まで離れてしまう懸念が高まり、ここ最近では「フィジカル・ディスタンシング(身体的距離をとろう)」という言い方に変えていこうという動きも出てきているようです。

「親密」と言っても、そんな大げさなことでもなく、さっきの"Stay safe"くらいのことがメールの文末にさりげなく書いてあるだけで、結構いいんじゃないかと。

ちなみにこのメールを送ってきたセドリックというイギリスの某美術館キュレーターはですね、押しが強い御仁らしく、「あれを手配してくれ」「これもお願い!」など、会ったこともないのに一方的に色々作業をふってきて、正直「うぜー」と思っていたわけですが、"Stay safe"のひと言を機に「え…実はいいヤツ?」みたいな印象に変わってきた。

こういうときだからこそ、相手への配慮、親密さを感じさせるさりげないひと言が効くのでは? 馴れ馴れしいのは逆効果でしょうが。

③ 秘密ーこっそりエデュケーションで自分に栄養を


最後のテーマはエデュケーションです。

リモートみたいな新しいはたらき方で言うと、「シェア」だったり「オープン」だったりが重要な時代ですが、かえって「秘密」の時間が大事になってくるんじゃないかと。

もちろん、悪事を勧めているわけではないです。

人知れずひっそりと、自分の新しい領域を開発する学びの時間を持ちやすいのではないか? ということ。オンラインで受講できる「おうち学習」のサービスも増えてるみたいですし、新しいラーニングをはじめやすい環境ではある。

こういう例は歴史上いっぱいあるようです。

これも取材である人に聞いたのですが、ニュートンが「万有引力」とか「微分・積分」などのビッグアイデアを着想したのは、ヨーロッパでペスト大流行の時期(1660年代)だったらしい。

大学が閉鎖されて実家に引きこもらざるをえなかったので、雑務に追われず、人知れず考えを練ることに集中できたんだとか。この秘密の時期はニュートンの"創造的休暇"と呼ばれているようです。「さあ、10分研究したから10分休むか!」みたいな感じで、庭でりんごの木ぼーっと眺めたりしてるうちに、すごいアイデア来ちゃった!ーーかどうかは知らないが。

ニュートンほど気合いの入った人は少ないにしても、広い世界にはいま現在、そうやって"ネクスト社会"に向けて虎視眈々とスタンバッてる人も間違いなくいるでしょう。

やっぱりいま「自分が試されてる」感はシビアにある。今後に向けて力を蓄える必要もありますから、新しい知見をストックする時間はどこかで持ちたい気がしますね。そのほうがいまの仕事にも張り合いが持てるので。

で、そのことは他人にあんまりシェアしなくていいんじゃないでしょうか? 孤独な時間が人を鍛えるという話もありますから。

ーーというわけで、おこもりワークで大切(だと私が考える)"3密"でした。次は、浅草の瓦割り屋さんにリレーします。それではみなさん、くれぐれも生活はStay Safeで、仕事はStay Hungryで。

記事:河尻亨一(編集者)

著者プロフィール

1974年生まれ、大阪市出身。雑誌「広告批評」在籍中には、広告を中心にファッションや映画、写真、漫画、ウェブ、デザイン、エコなど多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断する様々な特集企画を手がけ、約1000人に及ぶ国内外のクリエイターにインタビュー。現在は雑誌・書籍・ウェブサイトの執筆編集から、企業の戦略立案、イベントの企画・司会など。翻訳書に『クリエイティブ・スーパーパワーズ』(左右社)。2020年、伝説のデザイナー石岡瑛子の伝記『TIMELESS』を刊行予定。http://eiko-timeless.com/。仕事旅行社キュレーター、東北芸術工科大学客員教授。



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