10年後、僕らの仕事はどうなってる?—【書評】新春「働き方」の読むべき一冊—

新年早々ピンチです


あけましておめでとうございます。初めまして。仕事旅行でバイトをしている河尻と言います。本業は編集者です。仕事旅行の新橋オフィスに週一で通ってます。

私が仕事旅行社でお手伝いしていることとしては、①「シゴトゴト」の企画プロデュース(このコーナー)、②商品(旅)ページの編集、③新サービス「仕事散歩」関係、④新規事業周り、⑤ホスト登録促進の施策、⑥仕事旅行社の価値の整理とワード化、⑦代表・田中の愚痴を聞くetc――といったあたり。

ざっくり言うと、守備範囲はPRやブランディングといったコミュニケーション系でしょうか(⑦以外)。イベントのときは司会もやります。回数あまりこなせてませんが「仕事旅行」と「仕事散歩」でひとつずつホストも担当してます。

さて、私はいま、ちょっとばかりピンチです。この「シゴトゴト」は当面、毎日1本の記事配信が目標なのですが、今日は編集部員(島田・坂間)がいません! そして正月さぼってしまったため記事のストックがありません!!

で、「新年早々凹む…」かと思いきや意外とそんなこともなく、「ないなら書いたらエエよね」と思い、おもむろにPCに向かい始めた次第。実はこんなこともあろうかと、旬のネタをひとつ仕入れておいたのです。

というわけで本日は、「働き方」のヒントもてんこ盛りだと思われる、おすすめ本をご紹介してみたいと思います。

10年後世界は壊れる?ってマジかよ


上の写真の通り、おすすめ本のタイトルは『10年後世界が壊れても、君が生き残るために今、身につけるべきこと—答えのない不安を自信に変える賢者の方法—』です。出版されたのは去年の夏ですからご存知の方も多いでしょうが、それにしてもタイトル長いですね!

編集者感覚で言うと、書籍にこういった奇抜なタイトルをつけるのは“思惑”もあってのこと。たとえば略されて、「もしドラ」みたいな感じになっていけば「当たるか?」みたいな下心も少なからずあったりするものですが、ここまで突き抜けるとちょっとニックネーム化しにくい。仮に「君今(キミイマ)」とでもしておきましょう。

しかし、気になるタイトルではあります。「10年後世界は壊れる? それってどういうこと?」とまず思います。それに続く言葉も、初代ガンダムの次回予告で毎回使われていたフレーズ「君は生き延びることができるか?」を彷彿させ、ちょっとコワい。

おまけに帯では「そのとき、働く場所はあるのか?」とまで…。「森川亮氏推薦」というのはこれまたどういう文脈なのか? いずれにせよ思いきり不安あおってますね。子供の頃読んでおしっこチビりそうになった『ノストラダムスの大予言—迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日—』を思い出しました。

——と言うと「いわゆるトンデモ本の類いか?」と思われるかもしれませんが、読んでみると中身はまっとう。いわゆる“ビジョナリー系”の本です。

将来に悩める青年(どこにでもいそうな若者)と謎の紳士(めっちゃ儲かってそうな成功者)のトークで物語を進めていくあたり、明治時代の小説のようないくぶん古風な舞台設定ではあります。しかし会話は現代的な日常の言葉で展開され、そこで語られることは「なるほど」と思わせる。

目次に出ている小見出しからランダムに10個くらい引用してみると、たとえばこういったテーマ群です。

①「“作業”は、成果も君の給料も上げない」
②「『サイクル』を回せば、『失敗』という概念がなくなる」
③「日本はあと10年で階層化する」
④「地方で『国造り』をする生き方」
⑤「結婚は“オワコン”化するのか」
⑥「コミュニティのポートフォリオを持つ」
⑦「旅で新しい問題意識を手に入れよ」
⑧「21世紀のためにアートとデザインを学べ」
⑨「サッカーが偉大なのは、そのマーケットの広さにある」
⑩「淡々と続けられる人が、一番成功に近い」etc

こういったこれからの「生き方」や「働き方」に関するお題が約60個並んでます。上記に5〜7つ以上ピンとくる見出しがあった方は読んでソンしないかも。

このようにキャッチーで多様な“タグ”をバランス良く配置することで、色んな趣味志向・関心の人が入りやすくなる工夫がされており、構成も良く練られていると感じました。

会話中で時折繰り出されるギャグは若干スベり気味とはいえ、笑いを求めてこのタイトルの本を読む人はいないと思われますので、それも話が深刻になりすぎないための工夫かもしれません。

チャンスの扉が閉じる前に


この「キミイマ」を通読した感想として思うのは、この本の著者だけでなく、各ジャンルの専門家たちが指摘しているように、やっぱり「働き方」や「生き方」というのは、これから10年くらいで劇的に変わっていくのだろう、あるいは必然的に変わらざるをえないだろうというものです。いまはまだ混乱の過渡期なわけです。

たとえば今後コワいのは階層化(③)です。その傾向はすでに顕著になり始めていますが、「超格差社会」とさえ言われているように、今後ロボット化などが爆発的に進めば、人間のやること(仕事)は少なくなっていき、労働を価値化することは昔に比べて難しくなっていきそうです。

先日も、仕事旅行で勉強会をしてくださった経営コンサルタントの長沼博之氏(一般社団法人ソーシャルデザイン代表理事)と終了後の飲み会でこういった話になったのですが、長沼氏いわく「社会は“江戸時代”に戻っていく」とか。私も以前から、大体似たようなことを「人類は中世に戻る」という言い方でしていましたから、その言葉も腑に落ちたのですが、そういった未来予測をする人も結構いるわけです。

実際、いま中東で起こっていることやヨーロッパ中心に議論やテスト導入が盛んになっている「ベーシックインカム」などを考えても、「やっぱそっちかもな」という気がしないわけではないのです。

この本の中で著者は、紳士から若者への言葉として「戦後液状化したヒエラルキーが復活する。君がやるべきはその階層化が決定する前に所属する層を決めることだ」(第2章:格差社会と沈む日本を乗り越える)と書いていますが、それも同じような何かを国内版として語っているのだと思われます。

そして、再び“門が閉ざされる(=世界が壊れる)”までには、それほど多くの時間は残されていないのだとか。本書の著者はそこまでを「約10年」と見積もっているのでしょう。それ以降は新しい“階層”が固定された状態で社会が安定すると分析しています。

しかし、もし。実際、そうなったとしたら…。私のような“フリーランスアルバイター”はひとたまりもありませんね。行き場を失いフォースのダークサイドに落ちるしかなさそうです。

仕事旅行はどうなってしまうでしょう? 職場訪問しても「ロボしかいねえ」みたいなことではシャレになりません。

そうならないためには、それなりのタイミングで手を打っていく必要はありそうだと。そして、そういった近未来の現実に「いまからいかに備えるか?」のヒント集として読むのが、「キミイマ」の使用法なのでしょう。格差以外にも、「地域問題」「コミュニティ」や「起業」「コミュニケーション」といったいまっぽい話題が取り上げられています。「柔軟性」「人間性」「勇気」「品格と教養」といった普遍の価値に話が行くところも興味深い。

ここに書かれていることは、働く人々にとっては、なんだか悲観的な未来予想にも思えます。ですが、考え方によっては刺激的で面白い時代と言えるかもしれません。本書の予想が当たっていれば、ある意味いまは江戸に入る前の“戦国時代”なわけですから、ビジネスでもカルチャーでも新しいものを創り出すことがまだ自由にやれます。そのあたりを知りたい方は漫画「へうげもの」を併読されるとよいかも。



歴史は未来を知っている


こういった時代の転換点には、歴史が参考になる気もします。あと30年くらいでコンピュータが人間を超えるかも? という「シンギュラリティ問題」に関しては、ここ数年話題が盛り上がって来てますが、世界史の教科書に出て来る「ラッダイト運動」を引き合いに出さずとも、それに近いことを人類は何度かは経験してきており、古の書物にはそういった際の知見や対処法もストックされていそうです。

実際、産業革命による急速な機械化により、粗悪品が大量に生まれたことから始まったのが「モダンデザイン」です。“デザイナー”という新しい仕事を創ることで、押し寄せる機械化に対抗したのですね。もちろん19世紀と現代、洋の東西で事情がけっこう違いますから、そのままスライドさせることはできないのですが。

ちなみに「キミイマ」の著者は山口揚平さん(事業家・思想家)という方です。昨年TWDWという「新しい働き方っていいよね」みたいな感じのイベントでお目にかかりました。私は自分の出番の時間を間違えたため早く到着してしまい、たまたま彼の講演をのぞいたのがラッキーでした。「“働く”ってステキ!」を語り合うはずの場で空気を読むこともなく、「“働く”とか終わるかもよ」みたいな話題を、データや根拠を挙げつつ飄々と語り続けていてウケました。

あまりに面白かったので、厚かましくもトーク後に話かけてみたところ、担当編集の方が本を送ってくださった次第。

さて、2016はどんな年になるでしょう? 今日は記事ストックがなかったのでこんな感じですが、明日から本格始動です。この「シゴトゴト」を通じて、仕事や働き方、そして仕事旅行に関するビビッドな情報をお届けしていきたいと思います。本年も何卒よろしくお願いいたします。

河尻亨一(銀河ライター/東北芸工大客員教授/仕事旅行社キュレーター)
読みもの&連載もの:2016年01月05日

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