2017年10月27日更新

おとなのインターン体験レポ・入善町「観音湯」:日々の積み重ねが手応えになる仕事に惹かれました

おとなのインターンは、やりたい仕事に挑戦できる体験型の転職サービスです。

「ハードルが高い」と言われる異業種への転職であっても、インターンを通して仕事の内容や自分の適性が分かるため、「やりたい仕事をできる仕事にするための第一歩になるはず」という考えから、サービスを始めました。

しかし、具体的にどんな人が、どんな目的や動機で参加し、どんな仕事を体験しているのか? インターン終了後はどうなるのか? 参加を検討されている方の中には、そのあたり「もっと知りたい」と思う人もいるでしょう。

というわけで今回は、体験レポートをお届けします。

ご紹介するのは、富山県入善町(にゅうぜんまち)で現在実施中の「後継者募集プロジェクト」のひとつ。兵庫県在住の稲生太郎(仮名)さんが、町にたったひとつ残る銭湯「観音湯」でのインターンに参加しました。全国でも初の試みということもあって注目度は高く、県内のテレビ局や新聞社が大勢取材に来る中で行われた1日インターンです。

20年近くホテル業界で働き、現在は職探しをしているという稲生さん。銭湯経営の仕事はこれまでのキャリアと異なる部分も多そうですが、今回のインターンを通じてどんなことを感じたか? も聞いてみたいと思います。

お風呂は正直なんやわ。手を抜いたらすぐわかってしまう


「観音湯」の営業時間は15時から23時まで。しかし、ご主人の上田清作さんが働き出すのは10時頃。まずは風呂場の掃除。そして風呂釜を焚いて準備していきます。

体験の前半もまずは風呂場で使う桶とイスを洗うことからはじまりました。


「目に届かないところほど掃除をする」と、上田さんは言います。

イスなどは裏返して内側の部分も磨くように洗っていきます。洗いながら不具合がないか、摩耗しているところはないかなども気にかけています。

「いまのお客さんは体格がよくなってるからね、イスが小さくなってきたような気がして。そろそろ大きいものに変えようか? って思ってるんですけどね」

こんな言葉の端々からも上田さんの気配りが伝わってきます。


タイル床はいくつかのブラシで洗います。よく使うブラシは摩耗が激しく、数ヶ月で新品に比べて半分くらいになってしまうほど。

観音湯のお湯は薪を燃やして沸かします。そうやって昔ながらのやり方でお湯を沸かす銭湯は、いまや県内でも20軒もないそう。常連さんは「観音湯のお湯はやわらかくて、湯冷めしない」と言います。

薪は廃材などを活用していますが、コストを抑えられるぶん木を蒔にする手間はかかります。火入れをしてから約30分も経てば薪が切れてしまうため、営業中は絶えず追加しているそうです。

「毎日それを続けるのは大変なのでは?」とうかがってみたところ、「思いがないと続かないよ。手を抜いたらすぐわかってしまう。お風呂はそれくらい正直なんやわ」と上田さん。

「いろんなところに気を配りながら自分の仕事のプラスにしていく。どうしたらお客さんが楽しんでくれるか考える。お客さんが入ってきたら『いらっしゃいませ』。帰るときには『ありがとうございました』。言うのはたった二言だけ。ただね、なんの反応もないお客様ももちろんいて、どうしたら話してくれるかな? なんてことも考えるんです。なんとかして笑わせようとしたり(笑)」

「慣れてきますとね、出入り口の窓ガラスの下のところは透明になっているから、入り方や服装なんかで、お! この人来たな、なんてわかるようになるんですよ」

日々の仕事の様々な工夫やエピソードを、少年のように笑いながら話す上田さん。もっと喜ばれることを絶えず考えていて、それが無理のない印象。面白がることが得意なのでしょう。


火を焚くときに廃材を使う分、釘などの鉄くずなどがでるそうで、それはまた鉄くずを扱う業者が持っていくのだとか。小さな循環が生まれていました。



非日常を売る仕事ではなく、日々積み重ねが活きる地元密着のライフワークに惹かれます


稲生さんも薪入れなどの作業を手伝っていました。1日の仕事が終わった後で感想を聞くことに。

――実際の作業を体験してどうでしたか?

稲生(太郎さん※以下、稲生):薪を入れるタイミングや煙の出方の良し悪しなど、面白さや難しさを実体験できたのがよかったですね。

掃除のときも、つい汚れを落とすことに意識がいってしまい、腰を痛めそうな体勢でやっていると、上田さんから「それだと毎日続かないよ」と言われてハッとなりました。初めて体験する作業が多かったのですが、「見えないとこが汚れていたらイヤやろ?」というお話は、長く勤めていたホテル業と共通する部分があります。

――ホテルで働かれていたんですね。その頃の仕事と比べてみると?

稲生:ホテル業はどちらかと言うと非日常を売る仕事だと思うんです。日常の生活の中では得がたい「特別な体験」をお客様にご提供します。一方で、同じく接客業である銭湯は、人とのつながり方がまるで違うように感じました。どう言うんですかね? 日々の生活の中にコミュニティを作っていけるというか。常連さんが多くて、ご近所の顔なじみの方々へのサービス提供ですから。

ここに来てひとつ感じたのは、「毎日の小さな積み重ねが大事なんだな」ということ。そういう働き方もいいですね。変化や刺激がいっぱいある都会の仕事も面白いけど、自分がコミュニティの中で「何かを着実にやれている」実感が得られるところに惹かれます。

――参加されたきっかけは何ですか?

稲生:普段から仕事旅行のサイトを見ていました。いつもは読むだけだったのですが、このときは上田さんご夫婦の笑顔が目に飛び込んできて、やけに印象に残ったんです。詳しく読むと銭湯の事業を継承する人を探していると。で、実際に足を運んでお話を聞いたり、お手伝いしてみたいと思ってすぐに申し込みました。

――今日のご感想を。

稲生:やはり日々の積み重ねの大切さを知れたのが大きいです。ご主人の思いがひとつひとつの作業に繋がっていると思いました。改装のとき、「お客様と目線を合わすため番台の高さを10センチ下げた」というお話されてましたけど、そういった気配りや工夫を重ねていることが、地元で60年続く秘訣なんだろうと感じました。

本当に後継ぎとなるご縁があれば、作業だけでなくご主人の思いも継ぐ覚悟がいるでしょう。今回はたった1日の体験でしたが、もう少し長く触れることで見えてくるものもあるのでは? と思います。ご主人もおっしゃっていたように、様々なところを見ながらじっくり考えてみたいと。

地域にとって貴重なコミュニケーションの場を自分で運営していくことに興味もありますし、こういうライフワークもすごくいいなと感じています。季節を変えてまた訪れたいですね。



記事:橋本奈生子
仕事旅行ニュース: 2017年10月27日更新

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