2017年10月16日更新

カレー屋でアロハシャツ。そこには深ーいワケが!?–シゴト着、シゴト気。vol.3 もうやんカレーのスタッフ-

知る人ぞ知るカレーの名店、もうやんカレー。玉ねぎや人参、リンゴにバナナなど、8種類の野菜・果物の旨味が濃縮され、仕込みから完成まで約2週間かかるというこだわりのカレーは、1997年に西新宿で第1号店がオープンして以来、多くのカレー好きたちを虜にしてきました。

「シゴト着」を通して気になるあの仕事について知る「シゴト着、シゴト気」、第3回でご紹介するのは、そんな「もうやんカレーのスタッフ」の仕事着です!

熱狂的なファンを持つもうやんカレーの生みの親は、代表の辻智太郎さん(通称もうやん)。ランチ後の渋谷店に訪れた取材班を、もうやんさんはフィーバーのポーズで迎えてくれました。(そもそもなぜカレー屋にミラーボールがあるのかは謎。)


そんなもうやんさんが語る、シゴト着に秘められたこだわりの数々をご覧あれ。

そして、「も」の字に隠された衝撃の真実が明らかに!?

なぜカレー屋でアロハシャツなのか


カレーといえばインド。そんな我々の常識を軽々と超えていくのがもうやんカレーという店です。

見てください。このシゴト着。



ランチ後の片付け中の店員さんに無理を言って、シゴト着をパシャリ。



アロハです。

もうやんフリークにとっては何の違和感もないらしいこの姿。恥ずかしながらもうやん歴が浅い僕などは疑問が拭えません。「なぜカレー屋でアロハ?」って。

でも、決して話題作りのために着ているのではないみたい。アロハにはちゃーんと意味があると、もうやんさんは言います。

「カレー作ってると、はねて服につくでしょ。それが乾いたら結構汚く見えるんですよ。でも、アロハだと汚れが目立たない。ほら、お腹の部分とか汚れてるけど、わからないでしょ。あとは襟がついててハワイでは正装だからユニホームとしてぴったりだし、ポケットあって使いやすく、動きやすいんです」

なるほど、よく見るとアロハにはシミが。でも言われるまで気づかないほど目立たない。なんと、アロハにカレーのシミ隠しの効果があったのです! 

衝撃の事実! 「も」には2種類ある


店内の壁に貼られたメニューや、もうやんカレーのウェブページで目を引くのが、味わいのある書体。うまいのか下手なのか、絶妙なラインを攻めるこの字は、聞けばどれも辻さんが「家でA4の紙に筆ペンで書いてる」んだとか。

もうやんカレーのシゴト着で目を引くサロン(前掛け)にも、当然あの味わいのある字で「も」があります。



でも、よーく見てください。何か違和感に気づきませんか?





「も」が違う!


最初の、部分の筆の入り方、2本の横線の角度・長さ・距離感、そして最後のハネ。見れば見るほど「も」がゲシュタルト崩壊してきますが、同じ人が書いた「も」にしては違いがありすぎる気も。

そこのところどうなんですか? もうやんさん。

「うん。実はサロンに描いてある『もうやんカレー』の『も』だけは、僕が書いたんじゃないんだよね。」

やっぱり! だとすると、いったい誰の「も」なんですか?

「このサロンを作ったおっちゃんの『も』なんですよ。おっちゃんが僕の『も』を見て、『俺の方が上手く書ける』って言ったから、書いてもらったんです。で、いい感じだったから採用。まぁ、確かにおっちゃんの方が男性的だけど、僕の『も』も女性的なラインがあっていいでしょ?」

もうやんカレーのファンは数知れず。ですが、「も」の違いを語れる酔狂なファンはどれほどいるでしょう。気になるあの子をもうやんカレーに誘って、「知ってる? あの『も』って別の人が書いたんだぜ」なんてウンチクを披露すれば、「すごい、物知り!」とイチコロになるとか、ならないとか。

サロンは必殺“もうやん結び”で締める


さらにサロンには別の秘密も。それがこちら!



そう、これが世に言う(?)“もうやん結び”!

「僕ね、もうやんカレーを始める前にカレー屋で修行してたんですよ。その時にもサロンをしてたんだけど、蝶々結びだと紐が垂れちゃって、汚れてビチャビチャになっちゃう。それで考案したのが“もうやん結び”です。これなら紐が垂れないから汚れないでしょ」

ギュッと固く結ばれていて、なおかつ紐が垂れないもうやん結びは、どうやらもうやんカレーのスタッフにとって欠かせないもののよう。紐の結び方ひとつをとってみても、こだわりが光ります。

汗かくと止まっちゃう、もうやん時計


さてここからは番外編。普段お店ではなかなか見ることができないもうやんカレーアイテムをご紹介します。

まずはこちら。もうやんシャツ。



「自転車ジャージのブランド『チャンピオンシステム』に作ってもらったTシャツです。僕はマラソンにこれを着て出ていますよ。お腹に描かれたアボカドカレーから出てる炎は、アメリカのモーターパーツブランド『ムーンアイズ』のイメージです」

ちなみに、もう皆さんお気付きですね? そう、こちらの「も」はサロン屋のおっちゃんの筆によるものです。

そしてこちらはお馴染み(?)のもうやん時計。



「もうやんカレー」の字を文字盤にあしらうというオリジナルなデザイン。なのに、どこかで見たことあるようなこの時計(税抜5000円)は、もうやんカレーのファンに大人気で、お店にもほとんど在庫がないのだとか。新作の発表が待たれます。

この時計について、辻さんの一言。

「『完全非防水』って裏に書いてあるけど、腕に汗かくとほんとに止まっちゃうんだよね(笑)」

最後に、もうやんさんは今の夢を教えてくれました。

「もうやんカレーって、実はカレーじゃないんですよ。カレーの作り方は無視してる。というか、欧風カレーの作り方とかは一切知らないし。もともとは僕自身が健康のために作っていた、スパイス入りの鍋なんです」

「だからこそね、『味噌ラーメン』とか『カレーうどん』みたいに、『もうやんカレー』をひとつの新しいジャンルにしたい。うちの会社じゃなくても、『もうやんカレー』を出すお店が出てきたらいいなぁ、と思ってるんです」

一度食べると病みつきになってしまう、もうやんカレー。その裏に、もうやんさんの隠されたこだわりと熱い夢があることを、シゴト着を通して感じていただけたでしょうか?

カレーの仕込みから完成まで約2週間もかけたり、わざわざ手書きでメニューを書いたり、紐の結び方にもこだわったり。これだけ効率化が叫ばれる世の中で、もうやんカレーがあえて手間をかける背景には、「お客さんに喜んでもらいたい」というホスピタリティがあるのだと、私には思えました。

でもやっぱり、もうやんカレーの魅力は一度味わってみてこそわかるもの。ぜひ皆さん、お店に足を運んでみては?

執筆:山中康司(働きかた編集者)
撮影:浅井睦
連載もの: 2017年10月16日更新

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