2017年05月26日更新

天職ハンター ・輝くシゴトを追えvol.2/アクセサリー界の“天然記念物”を発見 タカハシレナさん


Photo : Hiroshi Sasaki(Instagram sass_sir)

好きをシゴトにしているヒト、そこから生み出されるモノ・コトは、どうしてあんなに面白いのだろう。天職に巡り合いたくて。ヒント探して輝くシゴトを追いかける、天職ハンター。

今回は、数多あるアクセサリーの中で、天然記念物的な個性を発揮しているブランド『cocorotsu(ココロツ)』のデザイナー、タカハシレナさんを追った。

自分の想いに素直に従うことで、開ける道がある。「普通」に引っ張られることなく、自分の中の「今だ!」という直感に従い旅に出て、ようやく掴んだ自信。アクセサリー制作のシゴトを始めて、彼女の世界は大きく広がった。

胸元にウツボカズラ


日曜の午後、代々木ビレッジで開かれていたマルシェに出かけた。心地良い天気の中、散歩気分で店々を巡っていると、店先に立つ彼女の胸元に目が止まった。うん…あまりジロジロ見たのでは、どうも怪しい。極めてさりげなく目をやる。間違いない…胸元にウツボカズラ!

ウツボカズラ。常緑性のツル植物で、近年では観賞用として栽培されることも多い食虫植物。丸い捕虫袋が特徴で、愛好家に人気ではあるが、胸元に飾る人は先ずいない。


な、なんだ…よく見れば、可愛いイラストで制作されたアクセサリー。なにこれ面白い!
早速、店先に立っていた彼女、アクセサリーデザイナーのタカハシレナさんをハント。お話を伺った。


ーー個性的なアクセサリーですが、どんなブランド?

タカハシ:
『cocorotsu(ココロツ)』と言うブランドです。
「ココロ(心)を包むハッピーアクセサリー」をコンセプトに、日常がちょっと楽しくなるアクセサリーを制作しています。

ワクワク・ハッピーになりますように、という心をアクセサリーに込め「包む」。心は着けて頂く方に「伝わる」。やがてその心は人々へと「つながる」。cocorotsu(ココロツ)という名前には、「心包む、心伝わる、心つながる」の3つの意味が込められています。


ーー自然をモチーフにしているものが多く、個性的で惹かれます。他に、cocorotsu(ココロツ)のアクセサリーには、どんなものがありますか?

タカハシ:
今、展開しているのは「Nature Trip(ネイチャートリップ)」という、世界のオモシロい動物や植物をモチーフにしたシリーズです。
大学時代、卒業論文研究でタイのマングローブ林を訪れたことがきっかけとなり誕生しました。今までに見た事のない、動物や植物に出会う貴重な体験をし、知恵を使ってたくましく生きる生き物達の姿に感動して。そんな素敵な生き物達の不思議さ、面白さ、可愛さを身近に感じてもらうことで、皆様の毎日がよりワクワク楽しく癒されたら良いと思い、このシリーズを作り出しました。


ーーん!? 卒業論文を書くのにタイのマングローブ林へ?

タカハシ:
ですよね。私、東京農業大学の林学科を卒業していて。大学での研究課題が「タイ国マングローブ林における着生シダ植物の生態」だったんです。昔から普通の女の子が言うカワイイとかと少しずれていて。キノコとか屋久杉とかに興味があって、割と気軽に林学科に入ったんです。でも最終的には、地下足袋はいて高枝ばさみを持って、しっかりタイに調査しに行ってました。

ーーどうりで、ココロツのアクセサリーが個性的になる訳ですね。一体どんな風に制作されているのですか?

タカハシ:
ネイチャートリップシリーズのメインモチーフは、色鉛筆で描いたイラストを樹脂でコーティングし、一つ一つ丁寧に心をこめて手作りしいます。
実は、アクセサリーにイラストを使おうと思ったのも、大学の卒業論文がきっかけで。論文の為に一生懸命描いた生体図やスケッチが、本来なら図鑑のようになるはずが、なんか、とにかく柔らかいタッチで可愛くなってしまって。本気で描いたのに。それで開き直って、可愛く描けるって私らしいでしょって思ったんです。アクセサリー制作を考え始めた時に、それをふっと思い出したんです。


ーータカハシさんらしさが全面に出たアクセサリー。もっと他にもこだわりがあるのでは?

タカハシ:
こだわりという程ではないのですが。金属部分は、変色しにくく、アレルギーの起こりにくい、K14GF(ゴールドフィールド)を主に使用しています。全ての方にアレルギーが出ないとは言い切れないのですが、出来るだけ安心して着けて頂けるよう考えています。

また、モチーフにさせて貰っている動物や植物に少しでも還元したくて、売り上げの一部をWWF(世界自然保護基金)等に寄付し、絶滅に瀕している生き物の為に使って頂いています。

ーーモチーフにしている動植物まで“心つながる”感じがしますね。そんなcocorotsu(ココロツ)のアクセサリーは、どんな方が着けてくれていますか?

タカハシ:
お招き頂く出展先のお客様層によって変わってはきますが、幅広い年齢層の方々にご購入頂いています。三~四十代のOLさんからマダムまで、世代を選ばずお着け頂いています。
最近、大阪で出展した時には、芸人さんにもご購入頂いて。女優さんではなくて、芸人さんなところが私らしくて、ココロツらしくて良いなって思っています。

私に普通という文字は無いの



ーータカハシレナさん、こだわりのブランド「cocorotsu(ココロツ)」。立ち上げまでには、どんなストーリーが?

タカハシ:
昔から、旅が好き、動物や植物が好き、デザインも好き、ものづくりもしたいって思っていましたから。それで、大学卒業後にデザイン留学をしようと思い、派遣のお仕事を頑張って結構な額のお金を貯めたんです。早速、学校を探しに当時姉が住んでいたアメリカ・シカゴへ行きました。
ところが、いざ行ってみると建築は素晴らしかったのですが、デザインはなにかしっくり来なくて。結局、日本の方が繊細で良いのではって思い、帰ってきてしまったんです。

ーーはじめから上手くアクセサリーブランドへ、と進んだ訳ではないんですね。

タカハシ:
上手く行くどころか。更に全く違う方向に行ってしまい。留学のために頑張って貯めたお金が手元に残っていました。それで、今だ!全部使ってしまえ!って思って。
その頃、スノーボードが下手だけど好きだったんです。それで、語学留学も兼ねてスノーボードをプロから教わるために、カナダのウィスラーへ!

ーーえ!?日本のデザイン学校に行ったりと、普通考えると思うのですが?

タカハシ:
私に普通という文字は無いんです(笑)。子供の頃から人と同じことをするのが凄く嫌で、そもそも普通がよく解らなくって。普通にカワイイ。普通に働く。普通はこうするとか。それもより、自分の「今だ!」って想いや、なんとなくでも「良いな」って想いを大切にしたいと思うんです。

ーーデザインは置いておいて、先ず旅に出たということですか?しかも趣味のスノーボードを持って。
カナダのウィスラーといえば、世界最大規模のスキー場があり、ウィンタースポーツの聖地として有名ですよね。

タカハシ:
スノーボード持って旅に出てしまいました。世界最大規模だけあって、山も大きいし、コースも厳しい。プロに教わるので、レベルも凄く凄く高くて。でもしっかり滑って下山しないと遭難してしまうので必死で付いて行って。レールやパイプなんて経験もないのに挑戦しなくちゃいけなくて。もう膝は笑ってしまい大変な毎日でした。

当時、プロスノーボーダーのコーチに繰り返し言われ続けたのが「You Can Do It!!」だったんです。言葉って凄い。怖くて出来ないと思うことも、その言葉を聞くと不思議と出来てしまうんです。それが凄い自信になって。

ーー旅に出て、全く違った分野に触れて新しい感覚に出会った?

タカハシ:
カナダから帰国した時には「You Can Do It!! 私、なんでも出来る!!」って感覚になっていて。それで、溜め込んでいた、ものづくりや、デザインへの自分の想いに応えるように、とにかく半年間イラストを描きためて就職活動をしました。奇跡的に、幼稚園・保育園向けの教材会社に採用が決まり、おままごと用品や入園用品、防災用品などの商品企画とデザイン案作成などをさせて貰うようになりました。

ーーようやく自分のやりたいことが動き出した?

タカハシ:
そうですね。特にブランドを立ち上げるきっかけになったのは、2011年春。目黒区美術館で開催されていた「包むー日本の伝統パッケージ」展を訪れた時でした。

昔のパッケージって、お寿司が腐らないように笹でくるんであったり。米俵だったら、運びやすいようにあの形になっていたり。物の事を考え、運ぶ人の事を考え、相手のことを思っている優しい美しさ。そういう気持ちが素敵だなって思って。今のパッケージを見てみると、私を買ってください!っていう、いかに手にとってもらうかがメインだけど、昔のものは中身のこととか、人のことを思っていることに、すごく感動して。

私もそういった心のこもった、そう…心ごとパッケージする「心を包む」ような、そんなものづくりがしたいって思ったんです。それで、自分が出来るものづくりで、周りの人々がハッピーになる方法を考え始めたんです。旅・動植物・デザイン・イラストを組み合わせて出来るものづくり。試行錯誤した末、最後にアクセサリー制作にたどり着き「cocorotsu(ココロツ)」を立ち上げました。

ーーそれから、モチーフ求めてジャングルまで女子旅を?

タカハシ:
モチーフを探す旅は、2013年冬が最初でした。マレーシアのボルネオ島へ、オラウータンに会いに取材へ出ました。熱帯雨林のジャングルは、多種多様な動植物が生息していて、凄いんです。世界最大級の花ラフレシアや、ウツボカズラもここで出会いました。帰国後に直ぐアクセサリーづくりに取り掛かり、cocorotsuの初個展。ネイチャートリップシリーズを発表しました。


ーーそこから独立。何かきっかけなどありましたか?

タカハシ:
初個展から2年が経った、2015年の夏。お世話になった教材会社を退職し独立しました。実はブランドを立ち上げたことは会社には話しておらず、平日の出展依頼も増え、有給を使い切ちゃったんです。もうそこまでやったのなら、今だ!って独立してしまったんです。

ーーなるほど。追い込まれた時の「今だ!」が、タカハシさんを突き動かし、ブランド「cocorotsu(ココロツ)」を作ってきた訳ですね。その「今だ!」は、言い方を変えれば「情熱」なのかもしれませんね。
では、その情熱は今後どこに注がれるのでしょうか。活動や目標、夢はありますか?

タカハシ:
様々な地域、人とコラボレーションしていきたいと望んでいます。沖縄やハワイとか、そこにいる生き物をモチーフにして、現地で販売したり。例えば、著名な方だとプラントハンターの西畠清順さん。植物を通して、何か出来たら良いなって思ってみたり。すみません、他力本願!個人ブランドなので、出来ることには限りがあります。それでも、求めてくれる土地や人がいれば、今だ!ってご一緒させて頂きます。

これからも、地球を旅しながら、リアルな体験や新しい発見、出会いを通し、みなさまの人生がよりワクワク楽しいなるようなアクセサリー作りをしていきたいと考えています。


天然記念物には、独特の生態系に適合し、生き残るために独自の進化を遂げてきたものもいる。
数多のブランドが飽和状態で、自然界よりよほど生存競争の厳しいアクセサリー界。生き残るためには、単にアクセサリーを売るのではなく、持つ人とのつながりや、そのアクセサリーを取り巻くコトごと作り出さなければならない。

環境が育てるブランド。これからの「cocorotsu(ココロツ)」がどんな進化を遂げるかは、彼女自身が誰と出会い、どこを訪れるのかで大きく変わってくるのだろう。
アクセサリー界の天然記念物は、はたして進化を遂げるのか、お話しを聞きながら一層楽しみになってきた。

記事:木村一貴

ロングインタビュー: 2017年05月26日更新

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