インドやシリコンバレーで人気の『運動会屋さん』に直撃。“UNDOKAI”は世界に誇る日本のチームビルディングだ!

…赤と白の帽子をかぶり、妙に大きな球を転がしたり、わざわざ人が人の上に乗っかって兜を奪い合ったりする年に一度の一大行事、「運動会」。

我々日本人には幼稚園から社内イベントに至るまでとても馴染みのあるイベントですが、これって実は日本にしかない文化だって知ってましたか?

そしてなんと"UNDOKAI”としてこの古き良き日本の文化を世界中に広め、また「企業の社内コミュニケーションの課題を解決するソリューション」として執り行う“運動会”のプロフェッショナル集団がいるとのこと・・・

その名も、「運動会屋」。

そのHPを見れば、「餅は餅屋に。運動会は運動会屋に。」「日本一おもしろい運動会、私たちにやらせてください。」「全て丸投げしたい企業様」といった、運動会に対する並々ならぬ熱いプロ魂をビシビシと感じる言葉で溢れているではないですか・・・。なんだかとっても気になって仕方がない!!

そんな訳でおそらく運動会について今、日本でもっとも詳しい"運動会のマエストロ”、運動会屋の代表・米司隆明さん(NPO法人ジャパンスポーツコミュニケーションズ 代表理事)に、昨今の運動会事情を突撃インタビューしてみました。

聞き手:寺崎倫代(シゴトゴト編集部)
(※写真提供:運動会屋)

インドやシリコンバレーでUNDOKAI!今見直される日本の集団競技



――早速ですが、最近海外で日本の「運動会」が、ジワジワと人気を集めていると聞きましたが本当ですか?

米司:
はい、本当です。昨年、一昨年は政府のオリンピックに向けた国際貢献策「スポーツ・フォー・トゥモロー」プログラムでインドを始めタイやラオスで日本式の運動会を行いました。

いずれもとても好評で、今年も4月にインドで実施が決まっており、また夏にはシリコンバレーの運動会にも進出予定です。


爽やかで優しい笑顔が印象的なNPO法人ジャパンスポーツコミュニケーションズ代表理事・米司隆明さん。トレードマークは赤と白の審判長ルック。
(※写真提供:運動会屋)


――インドにシリコンバレー・・・!すごいグローバルですね。しかしどうしてまた「運動会」が注目されているんでしょうか?

米司:
色々な理由が考えられますが、一番大きいのはおそらく海外には日本の伝統的な運動会の種目である「大玉転がし」や「綱引き」といった“集団競技”がほとんどなく、独自性のあるものだからだと思います。

海外には運動会のようなSports dayと呼ばれるイベントもありますが、どちらかというと球技やリレーでスポーツが得意な人を応援するといった“競技観戦”の側面が強いので、「みんなで一体になって何かする」というものではないんです。

元々運動会の発祥はイギリスという説もありますが、日本に入ってきて以来独特の進化を遂げ、いまでは日本文化として根付いているのです。

――ええっ、そうなんですか!?まさかあれは日本だけだったなんて・・・。でも、こういう運動会って外国人の目にはどう映るんでしょうか?

米司:
そもそも「運動会」という文化がないので、まず「それがどういうものか」を説明するのが実は結構大変なんです(苦笑)

でも、「朝早くから家族で場所取りして、お弁当作って、入場行進して、色別にチーム分けして、玉入れとかムカデ競争みたいな集団競技でポイントを競って、最後にチームの優勝を決めて閉会式をするんだよ」と詳しく説明すると、みんな結構「よくできてる!」「やってみたい!」っと面白がってくれます。企業さんだと「チームビルディングに良さそう」という声をもらったりしますね。


タイでのUNDOKAI。大綱引きの模様。
(※写真提供:運動会屋)


――確かに、全く知らない人から見たら運動会ってかなり新しいアクティビティとして映りそうですよね。ちなみに競技についてはやっぱりその国の国技を入れたり等、現地向けに変えたりするのでしょうか?

米司:
いえ、基本「集団競技をみんなでやってみる」というのがコンセプトなので、伝統的な日本式集団競技を行うことがほとんどです。

でも、それぞれの国で笑いのツボが若干異なるものもあったりして。

例えばパン食い競争の“パン”に当たるものをタイでは“フルーツ”にした方がなぜか盛り上がる、とかラオスでは障害物競走は“風船割り”の方が面白い、とか細かいところで現地の意見を聞いて毎回微調整しています。

あと、タイの入場行進では校庭だけでなく街中から始めました。パレードのように一通り練り歩いて校庭に入って来ると、街中一体となってすごく盛り上がるんです。

――入場行進がパレードに・・・!なんだかとっても楽しそう!日本だと入場行進は普通に大真面目に真顔でやるイメージですが、タイの現地の人たちなら笑顔で楽しんでいそうな姿が目に浮かびます。

米司:
準備体操にやるラジオ体操も、大人気です。インドの体操といえばヨガです。でも、ヨガだと1時間くらいかかるので子供たちには短くてアップテンポなラジオ体操みたいなものは新鮮に映るみたいです。

積極的に楽しんでやってくれて、終わるころには笑顔が溢れていますね。

――ラジオ体操は最近では訪日外国人観光客にも人気なアクティビティとして、興味関心が高まってるそうですね。まさかこんな身近な体操が喜ばれるだなんて驚きです。


インドの学校でラジオ体操を実施した時の様子。生徒数の多い学校ではなんと1学年3,000人に及び、運動会も時間毎に入替制なのだとか。
(※写真提供:運動会屋)


リピート率90%以上!希薄化する社内コミュニケーションに、とことん考え抜かれた「運動会」というソリューション



――また、海外だけではなく近年では企業の社内コミュニケーションを活発にするイベントとしても、運動会が見直されているようですね。企業の社内行事って、昨今どんどんなくなっている方向かと思っていましたが、逆に増えているとは・・・これはどういったことが背景にあるんでしょうか?

米司:
はい、おかげさまで引き合いは年々増え続けており、昨年(2016年)は200社以上の企業様に運動会を実施頂きました。大変ありがたいことに、約90%以上のお客様から継続して受注を頂いています。

背景として考えられるのは、近年のメールやSNSなどのITツールの発達で「リアルなコミュニケーション」がどんどん無くなり、社内の団結力やモチベーションも低下していることです。そのため、離職率も高まるなど深刻な状況です。

このような状況を解決するための「リアルなコミュニケーション」を図れる場が必要とされてきているんだと思います。

――確かに、隣の部署なのにメールやチャットではやりとりしたことあるけど実際に話したことはない、っていう話は結構あるかも・・・。でもそんな冷めた空気から始まるとなると、まずは「社内の人に参加してもらう」っていうことだけでも結構ハードル高くはないですか?

米司:
そうですね、その冷めた空気を徐々に温めていくために、運動会に向けて色々と仕掛けと工夫をします。

例えば予選会をやったり、食堂に運動会グッズを置いてみたりとか、部長さんたちにチームリーダとしてポスターに出てもらってAKBの選挙風に人気投票してみたりとか。CM映像も作ることもありますね。

――なるほど、ただ開催するだけではなくそういった盛り上げ施策まで考えられているんですね。

米司:
「社内のリアルなコミュニケーションの向上」が僕たちのミッションなので、そういった事前の盛り上げ施策から、どんな競技をやって、普段と違うどんな側面を見たらみんなの距離が最終的に縮まるか、綿密にヒアリングを重ねてご提案しています。


米司さんの著書・「会社の悩みは、運動会で解決しよう!」は、世界初の運動会のビジネス書。
(※写真提供:運動会屋)


――すごい!ただ運動会をやるだけじゃないんですね。みんなの距離を縮めるために、例えばどんな工夫をされたりするんでしょうか?

米司:
競技だと、王道の大玉転がしや綱引きなどもやりますが、その企業さんに合わせて“オリジナル競技”もご提案します。

例えばSEさんの多いIT企業さんだったら「タイピング早打ち競争」とか、建設会社さんであれば職人魂に火をつける「生コンクリート固め競争」。理解が得られる企業さんであれば、緊張をほぐすために役員さんの顔写真を貼った巨大なピンに大玉を投げる「役員人間ボウリング」なんて競技もやったりします。

――人間ボウリング!それは一挙に距離が縮まりそうですね(笑)そして本職の競技となるとかなり白熱したバトルが繰り広げられそうです。各企業さん毎に本当にとてもよく考えられてるんですね。

米司:
また、全体としても部署間で知らない人同士が交流できるようにチーム構成を考えたり、全員がかならず1種目だけではなく3種目は競技に出るような構成にしてよりたくさん活躍の場を作るようにしています。

そうやって、普段関係の薄かった他部署の人たちと上下関係の垣根を越えて、チーム一丸となって一つの目標に向かう。

こういったコミュニケーションは社員旅行や飲み会などではなくスポーツ、しかも誰でも参加できる運動会を通してだからこそできることなんです。

We Are アスレチックブラザーズ!UNDOKAIは世界に“和”で”輪”を作っていく


――今後の運動会屋さんの展開について、海外は特にシリコンバレーを重点市場とされていると伺いましたが、それはどうしてですか?

米司:
日本のお客様の引き合いで様々な業界のお客様がいるのですが、一番多いのはやっぱりIT企業さんです。

長時間のパソコン作業で社員の皆さんが運動不足になりがちな事に加えて、成果主義な側面が強いためやはり社内コミュニケーションの希薄化に悩む企業さんが多い。

なのでIT企業が多数並ぶシリコンバレーは、すごくポテンシャルは高いんじゃないかと思っています。

先日もシリコンバレーへ出張し、有名企業に飛び込み営業をしてきたところです。今年の取り組みは数年前からシリコンバレーで実施されている運動会のお手伝いとなりますが、これから更に市場を広げて行く予定です。

余談ですが、運動会屋の公式キャラクターである「アスレチックブラザーズ」が思いのほかアメリカ人に「Cute!」だと大好評で、持って行ったお土産のクリアファイルが大人気でした(笑)。


シリコンバレーで大人気!?上履きのキャラながら自身は裸足という運動会屋の公式キャラクター「アスレチックブラザーズ」。
(※写真提供:運動会屋)


――日本の上履きのキャラクターがアメリカ進出したらすごいですね!アニメ化されたりしたら面白そうです(笑)最後に今、プレミアムフライデーや働き方改革など、労働時間を短くする方向に日本全体が進んでいますが、運動会屋さんとして何か思うところはありますか?

米司:
個人的な見解ですが、時間を短くしても個々の仕事量は変わらないじゃないですか。なので、今よりさらに「短時間で集中して働く」っということが必要になってくる。

より一層働くためのモチベーションUpや社内コミュニケーションの強化が重要視されて、また運動会のニーズが高まるのではないかな、と。まさに僕たちの出番だな、と思います。

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米司さんは大学卒業後、IT企業など数社を経験し、26歳の時に起業。もともとスポーツが好きだったことから、いくつかのスポーツ関連の事業のトライアルを経て、運動会屋さんに辿り着いたとのこと。お話を聞いている中で強く感じたのは、「運動会」を通じて真剣に社会に”輪”と”笑顔”を作り出そうと臨む、圧倒的な熱量を伴ったホスピタリティ。

「個性を伸ばす」教育が美徳のように叫ばれる昨今、正直なところ今回お話を聞くまで日本の集団行動の美学はもはや“時代遅れ”なのでは・・・という印象でした。

でも、それをこんな風にポジティブに「日本の伝統文化の魅力」として世界中に笑顔を作り出す運動会屋さんは、まさに「“和”で“輪”を作り出す」プロ集団として、今の日本において貴重な役割を果たしているのかもしれない、と思いました。
読みもの&連載もの:2017年03月03日

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