もうすぐ春ですね。この3月より仕事旅行に、新潟県「十日町」で開催のツアーが続々登場しています。今回はここでしか体験できないイチオシ仕事旅行の数々をご紹介しましょう。
日本有数の豪雪地帯として知られる十日町ですが、ドカ雪で寒いだけの場所ではありません。有名な「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を始め、様々な地域おこしプロジェクトで注目される町。その意味では、むしろいまホットなスポットと言ってよいくらいです。
町の熱気を反映してか、今回の旅のラインナップも多彩です。地元に映画やドラマのロケを誘致する「フィルムコミッション」の仕事を体験できる旅から、「蝉の羽」を織る着物職人に織物の真髄を教わる旅などバラエティ豊か。
なかにはこんな旅も。
★五千年の時を越え、伝道師ツネルペから教わる「縄文の心」ー縄文の伝道師になる旅ー
この旅ではいったいどんな体験ができるのでしょう? そもそも「縄文の伝道師」ってどんな仕事? その前にだれだよ? ツネルペって…などなど、謎が深まりますね。
岡本太郎もインスパイアされた「JOMON」のふるさと
実はここ十日町は「縄文」に大変ゆかり深い土地なのです。例えば、世界の至宝とまで言われる「火焔型土器」は、十日町にある笹山遺跡から出土。ここからは土器のほかにも土偶や石器など、縄文時代のお宝がザクザク発掘されています(計928点。新潟県唯一の国宝)。
狩猟を得意とする縄文人のイメージから「ワイルドな土地柄」といった風景も浮かんできますが、今回の一連の旅をコーディネイトしてくださっている大塚眞さん(十日町さと記者)によれば、十日町はこんな町とのこと。
「東京にいると関わることさえないような人々との出会いがある町です。その人たちが、とにかく熱くて面白い。彼らの話に刺激を受けるうちに、『自分にも何かできるんじゃないか?』という気がしてきて、僕も移住を決めました」(大塚さん)
大塚さんの言う「東京では会えない面白い人」とはどんな人たちなのでしょう? 先にもご紹介したツネルペさんは、その代表的人物の一人かもしれません。
とはいえ「ツネルペ」は本名ではありません。こちらは"縄文ネーム"とのこと。本名は野沢恒雄さんです。
地元には野沢さん以外にも縄文ネームを持っている方が100人くらいいるとか。例えば現・十日町市長、関口芳史さんの縄文名は「ヨシプ」。そういった話を聞くと、縄文にかける十日町の本気度が伝わってきますね。
野沢さんは「NPO法人 笹山縄文の里」の事務局長(伝道師)として、世界に「JOMON」の素晴らしさを伝える活動をされている方ですが、縄文ダンサーとしてみずから舞を踊るなど、カラダを張って魅力を発信するのがツネルペ流。
今回の「縄文の伝道師になる旅」では、十日町市博物館で学芸員の方から火焔型土器についてのレクチャーを受けた後、ツネルペさんを訪問。縦穴式住居の中で火を囲みながら、縄文の心やNPO活動についてのお話をじっくり聞かせてもらえるでしょう。もちろん、舞も披露してくれます。
あの岡本太郎もインスパイアされた縄文の里にディープにひたれる1日となりそう(火焔型土器に最初に芸術性を見出したのは、岡本太郎と言われている)。町には太郎が通ったお蕎麦屋さんもあるようです。
伝統と現代、地元民と移住者が交わることでパワーアップしていく
ひところ話題になりましたが、日本人を「縄文人か? 弥生人か?」でざっくりタイプ分けすることがあります。
目鼻立ちがくっきりした、いわゆる濃い顔の人は「縄文人」、逆にのっぺりした平安貴族顔の人は「弥生人」みたいな分類ですね。大らかで細かいことは気にしないキャラなら「縄文人」、几帳面でキッチリした性格の人は「弥生人」などと言われることも。
「あなたは文系? それとも理系?」といったタイプ分けなどにも似て、「縄文人か? 弥生人か?」にどれくらい信憑性があるかは不明です。しかし身の回りを見ていると、確かに仕事のやり方ひとつを取っても、「新しい仕事をどんどんクリエイトして、パワフルにやっつけていくタイプは縄文人ぽい?(狩猟民族型)」、「クールで合理的に着々とキャリアを積み上げていくタイプは弥生人ぽい?(農耕民族型)」といったイメージはあります。
このタイプ分けで行くと、「芸術は爆発だ!」の岡本太郎はおそらく前者でしょう。
そう考えていくと、十日町は"現代の縄文人たち"が活躍しやすい場と言えるかもしれません。大塚さんの言う「東京では出会えない面白い人たち」というのも、そういったことと関係あるのではないでしょうか? どちらかと言うと都会は、先ほどのタイプ分けで言うところの「弥生人的社会」でしょうから。
十日町では以前から、地元の人だけでなくそこに移住者も加わって互いに刺激しあい、地域を盛り上げるための挑戦的プロジェクトを様々に立ち上げてきたそうです。
神奈川出身の大塚さんによれば、十日町は「外からの人に対してオープン」であるとも。
「冬場は雪に閉ざされる山間部の町と言えば、『閉鎖的』といったイメージもありますが、ここには当てはまりませんね。十日町は江戸時代に織物の一大産地となり、行商人を頻繁に迎え入れていたということとも関係あるかもしれませんが。
いずれにせよ、移住や2拠点居住に関心を持ちながらも行動に移すことにためらいを感じていた人が、最初の一歩を踏み出すにはもってこいの場所だと思います」(大塚さん)
東京と十日町の2拠点居住を実現し、地域にカフェやドミトリーからなる複合施設を移住者ならではの感性で立ち上げた人もいます。空間デザインなどの仕事を手がけるデザインユニット「gift_」の後藤寿和さんと池田史子さんは、古民家をリノベーションした「山ノ家」を運営しています。
近日公開予定の「ダブルローカルのカフェ&ドミトリー運営者になる旅 」では、カフェの仕事などを体験すると同時に、「gift_」のお二人から、ロハスデザイン大賞も受賞した「ダブルローカル」な働き方について、その楽しさや難しさなどおうかがいすることもできるでしょう。
今後登場する予定の十日町体験はまだまだあります(一部は募集開始。※3月2日現在)。
★織物職人になる旅ー「蝉の羽」を織る着物職人から織物の真髄を知るー
★ラジオパーソナリティーになる旅ー十日町から全国へ「あなた色のラジオ番組」を届けよう!ー
★ロケ応援団になる旅ー地元を聖地にする「フィルムコミッション」の効果とは?ー
★地域おこし協力隊になる旅ー理想の田舎暮らしは出来るのか? 地方移住者の "リアル"を知るー
こうやってツアー名を並べて見るだけでも、伝統の仕事と新しい仕事、地元民とよそから来た人が入り混じることでパワーアップする十日町の熱気が伝わって来るようです。
3月以降、順次募集を開始していきますので、気になる方は仕事旅行のウェブサイトをチェックしてみてください。十日町での仕事体験を通じて新しい自分に出会えそうな予感。春の訪れとともに、眠っていた"縄文スピリット"に目覚めてしまう人もいるかもしれません。
記事:シゴトゴト編集部
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