デザインも仕事も余分なものはなくていいー「世界で一番幸せな国デンマークに学ぶキャリアづくりの秘訣」レポートー

ワークショップ「世界で一番幸せな国デンマークに学ぶキャリアづくりの秘訣」に参加してきました。

北欧ツアーコーディネーターの戸沼如恵さん(エコ・コンシャス・ジャパン代表)をゲストにお迎えし、デンマーク人のワークスタイルを、「明日からの自分の仕事に活かそう!」という趣旨で限定開催されたスペシャル版の仕事旅行です。

さて、デンマークと言えば「幸福度世界ナンバー1の国」と言われることもありますね。そこにはどんな秘訣があるのでしょう?

私自身はデザイナーであることから、北欧のデザインやライフスタイルに興味があり、そのあたりをもっと知りたくて参加したのですが、「幸せなキャリアづくり」は働く人全員が関心のあることと言っても過言ではありません。

そこで今回は、会場の様子をレポートすると共に、そこで話された幸福な働き方のヒントを皆さんにシェアしたいと思います。

記事:森木愛弓(シゴトゴト編集部)

残業ナシで生産性は高い。なぜなの? デンマーク


イベントの前半では、ゲストの戸沼さんからデンマークの社会や文化、人々の暮らしぶりについてレクチャーして頂きました。

戸沼さんはもともと旅行会社で勤務していましたが、娘さんがデンマークに留学したことをきっかけにこの国に魅せられたとのこと。そして2012年、北欧専門のEcology & Ethicalな旅を提供する会社「エコ・コンシャス・ジャパン」を立ち上げ、数々のオリジナルツアーを企画・プロデュースされてきました。

いったいデンマークとはどんな国で、どんなところが魅力的なのか? 戸沼さんのレクチャーから、私が気になったポイントをまとめてみます。

①デンマークは、九州くらいの面積、北海道とおよそ同じ人口の国(約550万人 ※2009年)。

②童話作家・アンデルセンの国として有名。陶器の「ロイヤルコペンハーゲン」、おもちゃの「レゴ」といった世界的ブランドの故郷でもある。最近では雑貨ストアの「Flying Tiger」が日本でも人気。

③環境先進国でもある。海風を活用した風力発電が盛んで、2020年までに風力発電の比率を50%、2050年に「脱化石燃料」の達成を目標に、再生可能エネルギー化を国を挙げて推進している。

風力発電は農地を活用して行われるケースも多く、いまでは農家の大きな収入源となっている。有機農産物の普及も進み、将来的にはほとんどの食材をオーガニックに転換したいという話も。食料自給率はなんと約300%。

④北欧の国々全般に言われることだが、社会保障・福祉の制度が充実。例えば国民は病院が基本無料。一方で税金や物価は日本に比べてかなり高いが、同時に平均給与も高い。近年では「格差社会化」の兆しもないわけではないが、いまだ中流層のボリュームと社会的影響力が大きい。

⑤国民一人あたりのGDPは日本の1.7倍とも言われる。それでいて残業などはほぼありえない(週37時間労働)。


こういったお話からも、「食・住・職」となんだか生活全般の満足度が高そうな印象が伝わってきます。残業がないーーもうそれだけで幸福度がアップしそうな気もしますね。仕事に割ける時間が限られているため、勤務時間中はかなり集中する必要はありそうですが。

レクチャーでは現地の写真をたくさん見せていただいたのですが、「働きやすさ」「暮らしやすさ」を重視してデザインされたオフィスの空間や照明器具などのインテリアも目を引きます。

なかでも「これは面白そう!」と思ったのは、現地で流行している「クリスチアニア・バイク」という独特なデザインの3輪自転車。首都コペンハーゲンなどでは、前の大きなカゴに荷物はもちろん、子供やペット、パートナーらを乗せて走っている風景がお馴染みともなっているようで、ロイヤルファミリーも愛用しているとか。


クリスチアニア・バイク。首都コペンハーゲンにあるクリスチアニア地区で開発され広まった。「ヒッピーの楽園」とも言われるこの地区には平和を愛する人々が暮らし、観光名所にもなっている。(写真提供:戸沼如恵氏)

「対話」と「リラックス」がすべての生活シーンに


それにしても、なぜ、デンマークは幸福度の高い国になったのでしょう? 日本などに比べて短い仕事時間で高い成果を上げられているのはなぜ? というのも気になります。

様々な理由があるのでしょうが、デンマーク人の暮らしや働き方に関して、戸沼さんは主に以下2つのマインドがこの国の豊かさを高めるパワーの源になっているのでは? と考えているようです。

①創造的な「対話」を大切にする(フラットな人間関係)
②生活に「リラックス」を取り入れるのが上手(「hygge=ヒュゲあるいはヒュッゲ」というデンマーク独自の精神)


「hygge」というデンマーク語は、あえて日本語に訳すと「リラックスする・居心地が良い・くつろげる」といった意味。リアルなその感覚は、現地での暮らしを体験してみないことにはわからないようですが、「hygge」を大事にする文化はデンマーク社会に広く、深く根ざすもののようです。

そしてデンマークの職場では、「対話」と「リラックス」がしやすいように様々な工夫がされているのが印象的でした。

例えば、会社でシリアスな打ち合わせをしなければならないときでも、「まずはコーヒーでも」といったところから始まるのがデンマーク流ですが、やはり私から見て興味深いのは「照明」や「インテリア」です。

企業の大小に関わらず、オフィスには必ずと言っていいほどくつろいで対話できる空間があり、そういったスペースは間接照明を取り入れることで柔らかくライティングされています。必要な場所を必要なだけの光が照らすようになっています。

落ち着いた照明は心理的にもポジティブな影響を与えそう。キャンドルやたき火の炎を見ているとリラックスできるという人は多いですが、それに近い効果を得られるのかもしれませんね。


とあるシェアオフィスの"ヒュゲ・スペース"。様々なアイデアがここで生まれるという(写真提供:戸沼如恵氏)

照明だけでなくほかのインテリアのデザインも、気張ったところのないシンプルでカジュアルなものが目立ちます。流行に左右されないシンプルなデザインは、飽きることなく長く愛されます。

私はフィンランドを旅したことがあるのですが、デザインが暮らしの中に自然と溶け込んでいるのは、デンマークだけでなく北欧の国々に共通のこと。長く厳しい冬を屋内で過ごすことが多い北欧圏の人々は、道具や家具に格別の愛着を感じているようです。

そう言えば、フィンランドを代表するデザイナーであり建築家のアルヴァ・アールトによる、こんな言葉を聞いたことも。

「デザインで余分なところは、時間が経つと醜くなる」

もしかするとデンマークの人たちも、デザインがそうであるように仕事でも「余分なところ」を削りに削り、シンプルかつ機能的に、そして暖色系の前向きな気持ちで働いているのかも。そう考えると、このGDPや幸福度の高さも納得がいく気がします。

長い人生には"ヒュゲる時間"が必要だ


「対話の精神」と「ヒュゲる心」は教育にも生きています。デンマークには「フォルケフォイスコーレ」と呼ばれる全寮制の"大人の学校"があり、18歳以上の人ならだれでも入学資格があるそう(同国を中心に北欧、ヨーロッパ諸国に普及)。

このフォルケホイスコレーレ、現在デンマークでは70校以上が運営されているとか。それぞれの学校によって持ち味があり、語学やジャーナリズム、デザイン・アート・ものづくり、スポーツに健康、食文化などなど、学べる科目は多岐にわたるようです。

しかし、どの学校も共通して大切にしているのは「対話」を通じて学ぶこと。そして座学で知識を得るのではなく、「体験」を重ねることで自己実現を目指すということ。

一度社会に出たら、あとは定年までひたすら働き続けるのではなく、長い人生ちょっと立ち止まって「ヒュゲる(→ゆったりと自分を見つめ直す)時間が大切!」ということかもしれませんね。


「ekotri」が主催したフォルケホイスコーレへの「1週間プチ留学ツアー」の模様。次回は3月5日からで、2月1日現在参加者を募集中とのこと(写真提供:戸沼如恵氏)

イベントはまだまだ続きます。後半は戸沼さんのレクチャーで学んだことをもとに、参加者の皆さんが対話を通じて、「自分にとっての幸福な働き方やキャリアとは?」「いまの仕事にヒュゲを取り入れるには?」を考えてみる"フォルケホイスコーレなスタイル"でのワークショップ。

人前で話す機会の少ないテーマのためか、日頃感じている自分の仕事や働き方に対する疑問などを、これを機におおいに語っている方が多く、戸沼さんが用意してくださったデンマークのお菓子やホットワインのチカラもあって、とても和やかで充実した休日の午後の時間が流れていきます。

私はいまフリーランスで仕事をしていますが、「シンプルで余分なもののないデザイン、そして働き方とはどういうことだろう?」と自分の日々とキャリアを見つめ直す良いきっかけとなりました。


ワークショップ「世界で一番幸せな国デンマークに学ぶキャリアづくりの秘訣」の様子

仕事旅行ニュース:2017年02月01日

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