田中翼の「あの人の仕事場に行ってみた日記」vol.2ー大磯で地域プロデューサーとして働く原大祐さんには理想とする生活がある

新連載。仕事旅行社代表の田中が独断と偏見で選んだ「魅力的な働き方をする人」たち。その人たちの仕事場を訪問し、彼ら彼女らが“今に至るまでの仕事ストーリー”と、“根底にあるモチベーション”を聞く連続企画です。

第1回:原大祐(地域プロデューサー)

神奈川県の大磯町で地域プロデューサーとして活躍する原大祐さんには理想とする生活がある。彼曰く「大磯での別荘生活」。小高い山の上の閑静な住宅街にひっそりと暮らし、食卓には地域でとれた新鮮な野菜や魚が毎日並ぶ。できる限り自分で育てたものを口にする。子供がいれば一緒に時間を過ごして、都心に通わない生活のことなのだとか。

現在の原さんを見ていると、その理想の生活にずいぶん近いところまで来ているように見える。元々は都内で働いていた彼が、いつどのように東京を離れ、大磯で仕事を見つけ、理想の暮らしを実現していったのだろうか。その経緯を聞いてみた。



30代が目の前の頃。夢見るだけで終わりたくなかった


――大磯へ引っ越したキッカケは?

「年齢的に30歳が見えてくると、このままだと、もっと理想的な暮らしをしたいと口では言うだけの、実績のない夢想型のダメ人間になってしまう。そういうのが嫌だった」

もちろん原さんは、いきなりすべてを投げうって大磯に引っ越したわけでは無い。まずは何かを始めることが大事だと考え、都内と大磯の二拠点居住からスタートした。大磯に戻ってからは、地域生活をより豊かにしようと、耕作放棄されている茶畑をみんなで管理する目的で実施される茶摘みイベント「お茶の会」に参加した。

「自分で積んだお茶を楽しめるって、なんだか豊かじゃない?」

原さんは徐々に活動を広げる。もともと新鮮な魚が好きで、漁港の朝市に通っていた原さん。ある日、知り合いの誘いから、漁港でボランティアを始める。

「朝早いのだけれど、いろんな魚種が上がるのが見られる。それが好きだった」



――イベントやボランティアから仕事へ展開の方法は?

イベントやボランティアに参加したことで、地元との繋がりが生まれた。その中の一人である町長から「漁港の中に食堂を作りたいから何かできないか」と相談を受けたのをきっかけに、町の会議や事例の視察に同行するようになる。気が付くと実行委員の一人として巻き込まれていた。

プロジェクトの取りまとめ役として参加しながら、半年後には漁協直営の食堂「めしや大磯港」を立ち上げた。開店当初から「めしや大磯港」はテレビ局も飛びついて毎日すごい行列ができていた。

しかし、一時的なブームで終わる可能性を感じた原さんは、定期的な集客を見込むため、朝市を構想する。「めしや大磯港」の実行委員会をそのまま朝市の実行委員会へスライドし、港を活用した朝市「大磯市(おおいそいち)」の定期開催にこぎつけた。こちらもメディアに引っ張りだこで、町内外から多くの観光客が訪れる。



「別荘生活」を実現するために仕事をする。その徹底ぶりが気持ちいい


――最初から仕事になると見越して行動していた?

「自分が興味あることをやっているだけなので、最初はお金なんて意識していない。もしもらえても、ほとんどが単発の企画代金しかもらえない。会社を辞めてから数年は収入面でいうと、かなり厳しかった」

余談だが、原さんの事務所はシェアオフィスに設置されている。このシェアオフィスは、地元の3階建ての古い雑居ビルを原さんが借り上げ、自ら手作業で改装したもの。それを1階は保育園、2階は原さんのオフィス兼コワーキングスペース、3階はカフェとしてそれぞれ貸し出している。出費を抑えながら、定期収入を得るために始めた事業のひとつ。闇雲に地域に飛び込むわけでは無く、おさえるべきところはしっかり抑えつつ、理想の生活を追求していたというのは学ぶべきポイントかもしれない。

――これからやっていきたいことは?

「大磯の別荘的な生活を楽しみながら、一緒にプラプラする人がいないとさみしいじゃない?」

意識しているのは、ほかにも同じような生活を続ける仲間を増やすこと。

「もっと同世代が食べていけるようにするために、大磯市に出店する小規模事業者のチャレンジを応援していきたい」

そのために、小規模事業者がPR出来る場として、地域の情報を配信する新聞や、販促のためのイベントを仕掛けている。

「暮らし、仕事、地域が一直線に並べるのが僕にとっての要件。こういう生活をしたいというのと、実現に必要なこと、その接点になりそうなことだけをやっているのだよね」

現在もそしてこれからも理想の「大磯の別荘生活」を実現するために仕事をするという徹底ぶりが気持ちよかった。今後の原さんの活躍、そして大磯町がどのように変わっていくのか楽しみだ。

Profile

原大祐(はら・だいすけ)
NPO法人西湘をあそぶ会代表理事
Co.Lab 代表取締役
湘南定置水産加工代表取締役
関内イノベーションイニシアティブ 取締役

Interviewer

田中翼(たなか・つばさ)
1979年生まれ。神奈川県出身。米国のミズーリ州立大学を卒業後、国際基督教大学(ICU)へ編入。卒業後、資産運用会社に勤務。在職中に趣味で様々な業界への会社訪問を繰り返すうちに、その魅力の虜となる。気付きや刺激を多く得られる職場訪問を他人にも勧めたいと考え、2011年に「見知らぬ仕事、見にいこう」をテーマに仕事旅行社を設立し、代表取締役に就任する。100か所近くの仕事体験から得た「仕事観」や「仕事の魅力」について、大学や企業などで講演も手掛けている。



 
読みもの&連載もの:2016年12月07日

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