今日(11月16日)は「録音文化の日」。「日本で初めて蓄音機を使って、録音・再生実験が行われた日」とのこと。1878年(明治11年)との話ですから、ずいぶん昔ですね。
ところでみなさん、2016年現在、音は何で聞いてますか(ライブ以外)。スマホ? mp3なプレイヤー? 頑なにCD派という人もいるかもしれません。そう言えばMDってどうなっちゃったんでしょう…?
いずれにせよ、ネット経由のデータ視聴はたった十数年で思いっきり社会に浸透、映像だけでなく音楽の楽しみ方も激変しました。この秋ついに日本上陸を果たした「spotify(スポティファイ)」のような音楽ストリーミングサービスも人気です。
しかし、いくら音質がクリアとはいえ、mp3系データのデジっとした“聴き触り”が「どうも好きになれなくて…」という人は老若男女を問わず意外に多いようで、若い世代でもアナログの音を愛好する人がじわっと増えてもいる模様です。
なかでもこの数年、レコードとともに再評価の動きが高まっているのはカセットテープ! 東京を中心に音楽をカセットテープで販売する専門ショップやお店のコーナーが続々誕生し始めているとか。
最近記事などでよく紹介されている、人気のカセットテープストアが中目黒の「Waltz」です。
このストアでは数千本ものカセットだけでなく、レコードやVHS、国内外の雑誌のバックナンバーなども扱い、「全ての音楽、映像ソフトは試聴、試写が可能」とのこと。昨年2015年にこのお店をオープンしたオーナーは、以前amazonで働いていた方のようですね。
サイトを見ると、とても居心地の良さそうな空間です。
「Waltz」ウェブサイトより
このお店だけではありません。一昨年にはカセットテープ専門オンラインストア「TAPE SCHOOL」が登場、ほかにも「HMV record shop」(渋谷店・新宿ALTA店)など、音楽カセットテープ販売に力を入れるお店に注目が集まっています。
海外セレブも日本のアイドルも夢中に?
そして、このムーブメントは日本だけでなく世界的なもののよう。
興味深いことに、米国最後のカセットテープメーカー「ナショナル・オーディオ・カンパニー」は昨年、創業50年で最高の売り上げを記録。ライバルが消えたことも理由と思われますが、やはり「カセットで聴きたい!」という人は増えているのでしょう。
ジャスティン・ビーバーやカニエ・ウェストら大物の中には、新アルバムのカセット版を制作するアーティストが現れています。日本でもユニコーンのようなベテランから、でんぱ組.incのようなアイドルもカセット版を発表し、話題になりました。しかもユニコーンの「エコー」(ドラマ「重版出来!」の主題歌)はカセットのみの限定リリース。
ちなみに演歌はカセット版がいまだ定番のようですが、この動きはメジャー、インディーズを問わずいろんな音楽ジャンルに広がっています。
カセットテープから流れてくる音は、mp3のようなクリアさはなくむしろ独特のノイズが発生します。いちいちガチャっとセットしたり、キュルキュルっと巻き戻したりもやや手間。でも、その面倒くささが逆にいいのかも。
何度も聞いているうちに劣化していく(テープが伸びる)というのも愛着ポイント。「この1回!」のリスニング体験にピュアになれそう。レコードプレイヤーより安価で入手しやすいのも良いですね。雑貨としても楽しめます。
「カセットテープ屋さん」は、音楽だけでなくそれを「どう体験してもらうか?」といったこともパッケージして販売する“古くて新しい仕事”なのでしょう。
カセットやレコードが「音楽体験」の主役に再び返り咲くことはないのでしょうが、古本やジャズ喫茶と同様、好きな人が支え続けることでゼロになることもないのがスキマな仕事というもの。「好きマニア」なワークです。
記事:シゴトゴト編集部
冒頭写真は「waltz」店内にて編集部が撮影
参考(出典元)
★『11月16日はなんの日?』録音文化の日、ふたたび注目を集める「カセットテープ」の魅力
★Amazon元社員が退職後、たった半年で開業したカセットテープ屋waltzはなぜ世界で人気なのか
★全米最後のカセットテープメーカーが、創業以来の大黒字
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