11月22日(日)に開催された特別イベント、10人の“働き二スト”たちを招いてそれぞれの働き方についてお話を伺う日本仕事博。
前半に引き続いて個性的な5名の方々の働き方のお話。後半は仕事旅行インターンの坂間がレポートします。
1月下旬、渋谷ヒカリエなど都内各所にて催された「
TWDW 2015(東京ワークデザインウィーク)」のサテライトイベントとして開催した日本仕事博。
旅先の受け入れをしてくださっているホストの方々に「私のワークスタイル」というテーマでリレートークしていただくほか、座談会や交流タイムなどもある盛りだくさんのイベントとなりました。
イベントが行われた会場は渋谷にある朝日新聞メディアラボ渋谷分室。ラボ【lab】=実験室というその名の通り、様々なアイデアをコラボレーションするのにぴったりの、素敵なオープン空間です。
イベント序盤ではやや緊張していた雰囲気も、ゲストスピーカーの方々とお越しいただいた皆さん共にほぐれ、和やかなムードで後半のトークを再開しました。前半に続いて後半の司会進行も「編集キュレーターになる旅」の体験先でもあり、東北芸術工科大学客員教授で銀河ライター主宰の河尻亨一さんです。
「深呼吸って普段都会でしないと思うんですけど。森の中に来るとみなさんまず最初に深呼吸をするんですよね。」
(土屋 一昭氏/ネイチャーガイド/森の演出家)
後半の一番手はネイチャーガイドの土屋一昭さんです。
冒頭で「東京最後の野生児です」と自己紹介した土屋さん。会場のみなさんに目を閉じてほしいと呼びかけると、どこからか鳥の鳴き声が。驚いたことに、その声を出しているのは土屋さんご本人でした。
奥多摩の築150年の古民家を拠点に、トレッキングや森林ヒーリング、アウトドアクッキングといった様々なメニューを提供することで、ネイチャーガイドとして活動している土屋さんは、「森の演出家」という独自の肩書きを持っています。東日本大震災をきっかけに、「森育」「食育」「人育」をテーマとするこの仕事を始めたと言います。
当初は、「そんなことが仕事になるのだろうか?」とご自身でも半信半疑だったそうですが、火おこし体験を通して上司と部下が仲良くなる瞬間に立ち会ったり、鳥の声を聴いて涙する人に出会ったりするなかで、この仕事のやりがいに気づき、ネイチャーガイドこそ天職だと感じるようになったとのこと。
お話を聞いていると、土屋さんは本当に森(自然)が好きなんだなあということが伝わってきます。その素晴らしさを多くの人に伝えたいという気持ちが、仕事のモチベーションになっているのだと感じました。
「私が働くときに大切にしていることは、枠を超えろ!」
(園部 浩司/NECマネジメントパートナー/マーケットコミュニケーション事業部)
園部浩司さんは、仕事旅行では「企画をサクサク通す旅」「プレゼンターになる旅」「ファシリテーターになる旅」の3つの旅のホストを受け持ってくださっています。
園部さんは、社内外を活性化する様々なプロジェクトに携わりながら、「自分の枠を超えているか?」を日々自問しているそうです。ご自身が企画した社内イベントに、自主参加であるにも関わらず、150人もの社員さんが集まり、それぞれが笑顔で時間を過ごしてくれたとき、自分も次の日の仕事が楽しくなるような気持ちを覚えたというエピソードが印象的でした。
「自由な働き方をしている人」と言うと、フリーランスやベンチャー、個人事業などを想像しがちですが、大きな組織でも十分に自分らしさを生かした働き方ができる、そのためのヒントがたくさんあるお話でした。
「人生で大切なことは対面できまる」
(樋田かおり/フリーアナウンサー)
樋田かおりさんは元中京テレビのアナウンサーで、現在はフリーランスとして活躍するかたわら、「声で人生が変わる」をコンセプトに、現役女子アナが話し方を指導する「Talk Navi」というプロジェクトを立ち上げるなど、スピーチトレーナーの仕事にも力を入れています。
そんな樋田さんも、もともとは人前で話すことが苦手だったそうです。ご自身もかつて話し方教室に通い始めてコミュニケーションの楽しさ、大切さを知ったという経験から、声と話し方のトレーニングを通して色々な方に話すことの楽しさを伝えたいという思いで活動されています。
女子アナウンサーは最強の脇役。ゲストの方が気持ちよく話すことができるように質問などを工夫し、相手を引き立てることも大切な仕事とのことです。
「話を引き出すというのは積み重ね積み重ねで、少しづつ心が開かれていくんです」
(高松 孝行/妙勝寺住職)
高松孝行さんは江戸川区内最古刹のひとつ、妙勝寺の住職。
住職というと法事や葬儀、掃除、朝のお勤めだと思っている方が多いと思いかもしれませんが、実際には様々な相談を受けたり、震災以降に誕生した臨床宗教師という寄り添う活動があるそうです。
臨床宗教師には悲嘆(グリーフ)に襲われている人々をサポートする「グリーフケア」や末期患者に対する「ターミナルケア」、被災者支援、自死遺族のケア、貧困家庭やホームレス支援など様々な分野があります。高松さんは特に傾聴などを含む被災者の支援や自死遺族のケアに力を入れています。
震災直後、現場に出て高松さんのように活動する人々があったことから、その後は研修を受けて現場に出る「臨済宗教師」としての資格ができたそうです。
臨済宗教師として人々の心に耳を傾け、寄り添うことを大切にしているという高松さんのお話からは、自分自身の聞く姿勢を考えさせられました。
「限られた撮影時間でいかに私のことを知っていただき、信頼していただけるかが大切です。そうでないとリラックスした自然な表情は出てこないんです」
(片山しをり/フォトグラファー)
フォトグラファーの片山しをりさんは、大学で写真を学んだあと、どうしても写真を仕事にしたくてブライダル系の企業へ就職しました。しかし、流れ作業のように進められる写真撮影とお客様との距離感に違和感を抱いたそうです。
「それぞれの人に合ったコミュニケーションをしながら、その人らしい瞬間を撮りたい」。そんな思いで独立し、家族写真の出張撮影をスタート。写真家として活躍の幅を広げてきました。
片山さんがライフワークとして取り組んでいるのが、生まれて間もない新生児をモノクロで撮影する「ニューボーンフォト」。日本では存在していなかった新しい撮影ジャンルを確立しました。
数年後、成長したお子さんの姿を撮ってほしいという依頼が入るなど、長きにわたるお付き合いをしているお客様もいらっしゃるそうです。コミュニケーションを大切にしている片山さんだからこそ、お客様も「本当に残しておきたいその瞬間」をゆだねられるのだろうと感じました。
人と人とのやりとりが作り出すもの
働き方も、職種もそれぞれ異なるゲストスピーカーの皆さんでしたが、働くことに対する一途な思いや、何よりそれぞれが自信を持って楽しそうに生きている様子がお話からうかがえました。
その中でも何度も耳に入ってきたのが、「コミュニケーション」という言葉。
パソコンの使い方がわからず、教えてもらいながらお仕事の幅を広げてきたという土屋さん。サクサク通る企画書のようなわかりやすく、楽しいお話をしてくださった園部さんや、心地よい人との距離づくりを大切にされている片山さん、どの方も心の込もったコミュニケーションを通じてそれぞれ素敵な仕事観をつくってこられたのだと感じました。
コミュニケーションはコミュニケーションを生み、増大させる力もあるのだと感じましたが、それには丁寧な心遣いと、想いを受け取り、伝える姿勢が大切なようです。
気持ちを伝える話し方をレクチャーしてくださる樋田さん、様々な人に耳を傾け、引き出しを開けてあげることで心を穏やかにさせてくれる高松さんのように、その働き方に多くの人を惹きつけている理由にはただの会話ではなく思いやりを持った「対話」にあるのだなあと、人に向き合う姿勢を改めて考えさせられた時間でした。
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