お金だけじゃない、多様な生き方選ぶ「ダウンシフト」

「ダウンシフト」という言葉をご存知ですか?

元々は車のギアを一段下げるという意味ですが、転じて、「競争社会から降りてゆとりある生活に切り替えること」を指します。

競争生活からの離脱。つまり、経済活動に振り回されず、自分のペースで収入を稼いで身の丈にあった生き方を選択していくことです。

長時間労働が続いて家に帰るだけの日々が続いたり、働きすぎて体調を崩したり――。働き方に関する悩みが多い昨今、このダウンシフトの考え方がメディアで取り上げられることが増え、若者を中心に考え方が広まってきました。そして今、自分の生活スタイルを変えようと行動を起こす人も出てきています。

収入減らして好きなことしよう



※写真はイメージです。

ダウンシフトの火付け役となったのは、東京・池袋でオーガニックバーを経営する高坂勝さんの著書『減速して自由に生きる:ダウンシフターズ』(ちくま文庫)です。

高坂さんは30歳のときに著名な大手小売企業を退職しました。売り上げ至上主義による心労に耐えられなくなったからでした。

その後、国内外を放浪し、「自然の中では、毎日こんなに感動することが起こっている。お金なんて必要ない」「収入も出費も減らして、手づくりと仲間を増やして好きに生きてゆこう」と決意。

自身の田んぼで作った米や知り合いの農家から仕入れた野菜を中心に切り盛りする週休3日の小さなバーを開きました。就職していた頃と比べて収入は落ちましたが、生活するには全く困らないそうです。

高坂さんの著書には、行き過ぎた資本主義の弊害や、高収入の代償として長時間労働で失われていく人間性の重要さが説かれています。そして読んだ人に、多くのことを問いかけています。

朝早く出社して夜遅く帰ると、家族は寝ている。苦労してお金を稼いでも、将来の社会保障なんてどうなるか分からない。過労で体調を崩すことがあるかもしれない。それで本当に幸せと言えるのか? そうだ、自分の趣味は? 自分は何をしているときが楽しいんだっけ…。

「田畑で採れた美味しいものを食べて、昼寝する時間がある。これ以上お金を払って欲しいものなんてない」という高坂さん。自由な時間と、ゆとりを求めて生活スタイルを変えることで人生が豊かになると訴えます。

このようなダウンシフトを特集するメディアが増え、高坂さんのお店には、「今の働き方を改めたい」「子供との時間を増やしたい」と、仕事を辞めたお客さんが来ることも多いそうですよ。

生活を見直すきっかけに



※写真はイメージです。

6月2日放送のフジテレビ「ユアタイム」では、東京から千葉県匝瑳市に移住した家族の話が取り上げられていました。月3万円台の木造一軒家で、にわとりを買い、田んぼで米を育てる日々。

会社を辞めた若い父親は新しい仕事先を探しながらの田舎生活ですが、「不安はないですね。(田んぼ作業が)楽しいです」と明るい顔。母親も「子供が小さくて移住当初は不安だったけど、米も味噌もあるからなんとかなる。いざとなったら2人でバイトすればいい」と笑います。

都会生活と高収入という、周囲が羨むステータスを手放したわけですが、支出を減らしたことで余裕が生まれたようです。子供と遊んでいる時間がとても楽しそうなのが印象的でした。

都会を離れることで支出を減らし、ダウンシフトをする若い家族が現れることで、同市のような休耕地の扱いに困る地方が活性化する好事例にもなっているようです。

「出世競争から降りる」「家族と過ごす時間の割合を増やす」「ボランティア活動や地域のコミュニティ活動に参加する」「小さい家や田舎に引っ越す」など、ダウンシフトの形はさまざま。

高坂さんのように自営業を始める人もいれば、複数の職場からちょっとずつ収入を得るようなパラレルワークを始めて職場からの縛りを和らげる人、自給自足を始める人などやり方は多種多様なのです。

もちろん、転職や移住など大規模な生活改変を行わずとも、日常の中でできるダウンシフトもあるでしょう。根底に共通しているのは、過度に行き過ぎた経済活動からの脱却です。

お金を稼ぐだけで、幸せになれますか?

自由な時間やゆとりを増やすことで、見えてくるものがあるかもしれません。ダウンシフトの考え方は、私たちに今の生活を見直すきっかけを与えてくれているような気がしますね。

上野舞(ライター)
読みもの&連載もの:2016年06月30日

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