2016年06月09日更新

起業で月額14万円の“ベーシックインカム”支給。民話の古里「遠野」に新しい物語を

遠野市に住民票を移すこと、地元の資源を活かして起業することを条件に、月額約14万円のベーシック・インカムを支給します

——と、ウェブサイト等で呼びかけているのは、「Next Commons Lab」という地域活性のプロジェクト。

★Next Commons Lab

「ベーシックインカム」はこの数年来よく耳にする言葉。ちょっと気になりますね。

「政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給する」制度として知られ(wikipediaより)、ヨーロッパを中心に実験的な一部導入を試みる国もあります。

ごく簡単に言うと「まったく働かなくても一定のお金が給付される」仕組みです。

結果は「見送り」となりましたが、スイスでは先日「導入するか否か?」をめぐって国民投票が行われるなど、ベーシックインカムは世界的な関心事となっています。

「Next Commons Lab」は起業家を誘致する地域活性の取り組みでありつつ、日本での「ベーシックインカムの実験的プロジェクト」という面からも注目を集めているようです。

守屋佳奈子(シゴトゴト編集部)

つくる人のための受け皿をみちのく遠野に


今回このプロジェクトが行われるのは岩手県遠野市。ウェブサイトでは以下のような概要が説明されていました。

「異分野で活躍するクリエイターや起業家、 最先端の技術と知見をもった企業と、地域の資源や人材とをつなぎ合わせ、 誰もが『つくる人』として参画するための受け皿として設立されました」

「2016年。まずは10のプロジェクトテーマを掲げ、 それらを事業化するためのプロフェッショナルをラボ創設メンバーとして募集します。

各プロジェクトに必要なリソースの発掘やマッチングをおこない、 思案・実験・実行を繰り返すことにより、 3年以内の事業化と汎用的なモデルを確立することが目標です」(ウェブサイトより)



プロジェクトのコンセプト(「Next Commons Lab」ウェブサイトより)

このプロジェクトのポイントを3点に整理してみましょう。

①月14万円支給

先ほどもふれましたが、「起業・独立するための支援金として、毎月14万円程度のベーシックインカム+年間30万円の補助支援金を最大3年間支給」というのはやはり気になりますね。

「起業・独立」が条件になっている段階で、この給付システムは厳密にはベーシックインカムとは言いがたいところも実はあるわけですが、一定額の支援があることで収益化を焦ることなく、これまでにないチャレンジングな事業にもトライすることができるかもしれません。

ちなみに「プロジェクトを通して起業もしくは共同創業することで、支援期間中であっても収入を得ることができます」とのこと。

それはそうでしょうね。賢くやり繰りすれば14万円で生活はなんとかなるかもしれませんが、「次の1歩を踏み出す」となるともう少し資金も必要かもしれません。

②プロジェクトパートナーと協業できる

2つめのポイントです。今回のNext Commons Labでは、遠野という地域の特性を活かした10のプロジェクトテーマがあり、テーマごとにそれぞれ起業家を支援してくれるパートナーがいます。

プロジェクトテーマの領域は「ローカルブルワリー・発酵・テクノロジー・限界集落・産前産後ケア・超低コスト住宅開発・里山経済システム・グローバルスクール・デザイン・食」と多岐にわたります。

河童や座敷わらしなどが登場する『遠野物語』で有名なことから、遠野と言えば民話の古里といったイメージが強いですが、新しい産業育成につながる様々な可能性を秘めた土地であるようです。

実際「ホップの栽培面積が日本一」とのこと。

現地の醸造家やエンジニア、デザイナーら、その道のエキスパートと意見交換し合いながら、事業をじっくり練り上げていくことができる仕組みなのでしょう。


プロジェクトテーマとパートナー(「Next Commons Lab」ウェブサイトより)

現代の“民話”は土地に縛られない?


③定住しなくてもいい

地方への移住をプロモートする施策では、一定期間「その場所に住み続ける」ことを求められるものも見受けられますが、Next Commons Labでは定住は必要なし。プロジェクトで成果を上げることのみが求められるようです(※住民票は移す必要があります)。

地域活性の取り組みでありながら「場所に縛らない」ところも興味深いポイントです。

ミッションを達成しようという意欲があり、必要に応じて現地に足を運べるのであれば、ほかの土地で別の活動に携わったり、その活動を遠野にフィードバックすることも可能になりそうです。

そうすることで、「点を線」に「線を面」に展開できる有能な人材を集めようとしているのかもしれません。

今回遠野で実施されるプロジェクトの第1弾は、「少人数のパイロットプログラムとして導入」とのことですが、「成果が出れば、今後の拡大も予定」されているとか。

民話の古里を拠点として、ネットワーク型の“新しい物語”をつむぎ出す試みと捉えると興味深いですね。「民話」とはその時代にそのコミュニティを生きる人々が、活きていくために行った日々の営みがときをへて結晶化し、共有財産(コモンズ)になったもの。

いま全国で繰り広げられている様々な地域活性プロジェクトも、100年たってみれば“昔話”。その中から何が語り継がれているでしょう?

Next Commons Labの募集期間は6月26日までと迫っていますが、ご興味ある方はウェブサイトをのぞいてみてもよいかもしれません。

参考記事(プレスリリース):国内初、岩手県遠野市で“ベーシック・インカム” 毎月一定額を支給する「最低生活保障」を実験的に導入。地元の資源を活かした起業が条件。
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