2019年05月20日更新

創業元治元年。江戸千代紙の「いせ辰」を訪ねると暗い気分も明るくなるー森まゆみの「谷根千ずっとあるお店」vol.10

作家の森まゆみさんによる連載。『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』を1984年に創刊、「谷根千(やねせん)」という言葉を世に広めた人としても知られる森さんが、雑誌創刊以前からこの町に"ずっとあるお店"にふらりと立ち寄っては店主にインタビュー。作家の森まゆみさんによる好評連載。今回は創業元治元年(1864年)、千代紙の老舗版元「いせ辰」さんへ。(編集部)

「いせ辰」の千代紙は文明開化のスーベニア


三崎坂でひときわ華やかに目を引くのが、創業元治(げんじ)元年という歴史をもつ千代紙の「いせ辰」である。間口は2間ほど、奥行きもさしてないが、ガラスのウィンドーは季節を感じさせる千代紙の数々で溢れている。私は必ず足を止める。外国に行く時に、ここの姉さま人形や小ぶりの風呂敷、何より綺麗な千代紙をおみやげに買っていくと喜ばれる。

長らく、雑誌「谷根...

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